2025年1軒目の石場建て上棟しました。
はじめに
今回の工務店は名古屋の紬建築さんです。一緒に仕事するのは、今回の現場で新築5軒目、石場建て4件目です。大工工事だけでなく、石据えや竹小舞掻きや土塗の経験値も上がり、改良を重ねて現場もスムーズに進むようになってきました。
今回の棟梁は、船頭の土壁の続きで黒川さんです。
では、こちらの基礎の上に建てていきます。

1.地組

まずは材料搬入。
地組をしてから、足場設置です。
周りに余裕がない時は、上で金輪が作れるぐらいの足場にします。
最近の工事費の事を考えると、材料と手間を抑えることは設計の大事な要素になってきました。この家は整形で通りを崩したりせず、セオリーどおりの軸組なので、材積も抑えた単純な構造にしました。図面を見ずに同じ図面が書ける構造が単純であり、大工の頭にも入りやすく、建前も複雑にならず、結果手間も少なく済むと思っています。
立面はこんな感じです。
壁は10尺、屋根は12尺。
瓦屋さんの見せ場です。

建前の前に、地組という作業をする場合もあります。
下の写真のように桁行か妻行かどちらか一方だけを先に組んでおくことです。
建前の時には、起こしながら組んでいきます。



伝統的な木組みで鳥居を組んで、起こす順番に積んでおきます。
2.建前開始
では事前に地組しておいた鳥居を起こしていきます。














はい!
というわけで、妻梁まで組み上がってきました。
3.小屋組み

この家は厨子二階の形状なので、差鴨居レベルで一部小屋裏空間が生まれます。






はい!
というわけで、棟まで上がり無事上棟です。
引き続き屋根仕事に入っていきます。






今回は軒を五尺出す為、垂木は尺間です。
予定通り進み、無事上棟式を執り行いました。
棟梁がカケヤで脚固めを叩きます。

4.軸組
今回は太鼓梁は使わず渡り顎で組み上げています。
吹抜上部には規則的に並んだ小屋組みの構造。
妻行五間の五寸五分の屋根勾配、明るい妻壁の開口部。
重くて大きないぶしの大屋根は、足元フリーの石場建てには、必須条件。
一般的に屋根は瓦より板金の方が地震に有利と言われますが、瓦を板金に替えた所で低減できる地震力は少しの事です。それより長持ちする瓦の方が良いと思いますし、瓦で重くなった分は壁や軸組で耐震要素を少し増やせばよい。










5.伝統工法の断熱
今回の屋根の構造は二重屋根とし、仕上げの野地板の上の捨て垂木間に断熱材(ネオマフォーム)を敷き詰め、その上に遮熱のシートと空気層です。伝統工法でも無断熱からZEH仕様ぐらいまで、建主さんのご要望によって断熱の仕様は選択できます。土壁があるので壁の断熱が少し大変ですが、その替わり土壁のおかげで結露は起こりにくく調湿性・蓄熱性があります。
昔の土壁の家は寒いと言われますが、現代の土壁の家は仕様次第。
暮らし方の工夫で少ないエネルギーで冬温かく暮らす事は可能ですし、もちろん夏も土壁の蓄冷を利用して極力エアコンに頼らない暮らしも可能です。
今回は、ローン控除の省エネ基準には適合しています。



次回は、竹小舞と土壁です。