はじめに
ちょっと前に聞いたお話がきっかけで、1年前から堆肥小屋を始めてみました。
「循環・持続可能な暮らし という言葉は良いけれど、現代は植物や生き物たちが繋いできた命をいただく人間が、自らの排泄物を下水道や浄化槽で終わらせたり、火葬して終わっている。
それは生き物たちが繋いできた循環を人間が断っているということ。
循環というのであれば、私たちの暮らしからでるゴミやモノであったり、自身の排泄物を循環させなきゃ。」
「自然栽培でお米や野菜をそだて、土に還る自然素材で家をつくり、人が暮らす事で環境を再生したい」と言っておきながら、下水や浄化槽と繋がった暮らしをしていた自分に気付いた。
1.私が子供の頃の循環
私が小学校2年生の頃(1980年代後半)までは、私が今住んでいるこの家もまだ汲み取りのボットン便所だったと記憶しています。
便槽が一杯になると、祖父が長い大きなひしゃくでバケツに汲み取り、畑の一角にあった肥溜め小屋に運んでいた。嫌気発酵させて畑の肥料として利用していました。とにかく運びだす日は家中に匂いがするからすぐわかる。これを書いてる今でも、あの時の匂いを思い出すぐらい記憶に残っている。
小屋の中には、下の写真の三つの大きな壺(≒150L)が並んで埋められていて、木で蓋をしてました。

最初の壺にはホヤホヤのウンチとおしっこが入ります、もちろん超臭いのです。
うる覚えではありますが、、、
数日たつと発酵が進み少し落ち着きます。期間を置いて次の便が来た時には、古いものを隣の壺に移していきます。最後の壺の頃には、匂いもなく黒い透明な液体だった覚えがあります。
よく考えてみたら、たったの30~40年前までは「排泄物を肥にして土に還し、その土で作物を育てていただく」という美しい循環がここにもありました。

これが昔の肥溜め小屋です。肥溜めがなくなってからは、鶏小屋になったり、農具小屋になったり、薪小屋になったりしてました。数年前に私が壊してしまいましたが、この小屋を見るとやたらと子供の頃の記録が蘇ります。建物は記憶の器、子供たちの為にも今の家は必ず残してあげよう。
さて、15年前から心から良いといえる「家つくり」を探し始めて「木組み・土壁・石場建て」の建築に出会い、「土中環境」の土木に出会った。その後、建築や土木の素材生産から「里山や地域」へと繋がりました。
「暮らし」については、家つくりよりも前から探していたのに、全く進んでる実感が得られませんでした。
しかし今は「堆肥つくり」をきっかけに、暮らしも進みだすような気がしてます。
2.堆肥小屋の紹介
まず最初にうちの「 鶏のいる堆肥小屋」の紹介です。
中はこんな感じで、鶏小屋の中で堆肥を作ってるわけです。

広さは真ん中に4坪の堆肥部屋があり、両端に1坪の個室が2つ、合計6坪の堆肥小屋兼鶏小屋です。
鶏11羽もいると匂いも気になるので、風が抜けるよう壁は極力金網にしてます。
構造は手刻みの木組みです。貫や土壁はなく、長ほぞ込栓と渡り顎と腰レベルの鴨居差しで固めてます。今回たまたま2Mの3.5角の桧の柱がたくさんあったのと、虫食いで出せない杉の梁材が数本あったので、それを利用して設計しました。
鶏小屋にここまでやらなくてもと言われます・・・。木組みにこだわっている感じで少し恥ずかしさもあるのですが、別に木組みにこだわっているわけではありません。ホントにこれ以外の金物やボルトの使い方や、無垢材以外の使い方がわからなくなってしまいました。

堆肥部屋は通り土間になっており、畑で野菜を収穫して鶏小屋を通過しながら野菜くずを鶏にあげて、台所に戻ってくるという動線計画です。
両端の個室はヒヨコが来た時とか、または野うさぎやカモなどを飼えるようにと思って作りました。
下の写真は、ヒヨコ飼育中の個室です。

高さは小屋の中でも作業がしやすいよう、天井高は2M。
鶏は夜になると高い所で寝るのですが、寝てる時にたくさんウンチをするので、堆肥の上に止まり木がくる設計です。
ちなみに、我が家はお隣さんもいる集落の一部なので「コケコッコー」と鳴くオスは近所迷惑で飼えません。鶏たちはみんなメスです。後藤孵卵場の「もみじ」という品種を購入しています。

こちらは断面です。
餌箱は堆肥の切り返しがやりやすいよう、壁架けです。鶏は台や高い所があればすぐに飛び乗って、うんちをしちゃったりするので、餌箱の上には斜めに板を設置して餌箱の上に乗れないようにしています。単純なことですが、これがまた調子が良いのです。
基礎部分は獣に侵入されないように、深めに掘って栗石の小端立ての上に延石を回して、土台敷。
一番下の肌色の部分が三和土土間で、黄色の部分が堆肥です。
堆肥部屋の面積が3坪(約10㎡)× 堆肥スペースの高さが0.2m = 約2.0㎥ の堆肥が収容できる計画です。
個室は土のままですが、堆肥部屋は三和土土間仕上げです。
理由は堆肥の切り返しをするときに下が土だと、どんどん土を掘ってしまうからです。
コンクリートまたは石でも良いと思いますが、私の場合は一番お値打ちで楽な三和土土間にしました。三和土は水も空気も通しますしね。

餌箱の高さや斜めの板など、微調整しながら良い良い位置を見つけましたので、良かったら参考にしてください。
みんな並んで可愛くお食事中です。

最初の頃は下の写真のように、三和土土間を現しで使っていましたが、いろいろ問題がありました。
最初の問題は、鶏のウンチは三和土土間の上だと分解が進まず、半日たっても残っており誤って踏んで靴につきます。
仕事に出かける前に餌やりに行くことが多いので、その時ウンチを踏んでしまい、そのウンチが着いたまま車にのり、一日ウンチの香りのする車で移動し、ウンチの付いた靴で現場に行き、お客さんの家に行き、喫茶店に行く。
別に臭いだけなので私は良いのですが・・・、皆さまには大変ご迷惑をおかけしてました。
次の問題は、鶏は一日中地面を突いており、あの硬い三和土にも穴が開いてしまいます。塩分が美味しかったのかもしれませんね。土間を現しで使う場合は三和土土間はお勧めしません、石版かコンクリート版が良いと思います。
また、ウンチの分解が遅い土間現しは、堆肥小屋の匂いが気になる時もありました。

しかし土間の上に堆肥層を20cm設ける事で、ウンチはいつでも堆肥の上に落ちますし、突かれて穴があくこともないはずです。
堆肥の上に落ちたウンチはびっくりするほど分解が早く、小屋の中は朝少し匂いがしたとしても昼にはもうありません。
目には見えない微生物の存在を感じる瞬間ですね。
匂いが気になる方や、これから作る方はぜひ試してみて下さい。

3.なぜ鶏のいる堆肥小屋なのか
堆肥つくりは、岐阜に帰ってきた時から生ごみのコンポストや、草木で堆肥つくりのようなことはしていましたが、今思うと微生物の分解の「発酵」と「腐敗」も知らず堆肥のことを全く理解できていませんでした。
堆肥の詳しいことは、いろんな方が説明しているのでお調べいただければと思います。私は四井真治さんを参考にしています。まだまだ四井さんの考えについていけていないので、ぜひ皆さん直接調べてみて下さい。
さて、堆肥を作るうえで大事なことは次の3つ。
C/N比 と 水 と 空気。
この3つの条件が整うと、微生物たちが発酵に向かって進みだし、堆肥の資材は土に還っていきます。
そして私が一番やりたかった事は、私の暮らしの中で出てくる「暮らしの副産物やゴミ」を堆肥の資材として使い、私が自分の為に暮らしをしているだけでそれらは勝手に「土」に還っていき、堆肥の中ではたくさんの微生物が増えていく!そんな暮らしをつくることです。
その為に、鶏たちの力が欠かせないのです。
では、C/N比と水と空気と鶏の関係について、順に説明していきます。

① C/N比
C/N比とは、堆肥を作る為の炭素(C:炭水化物)と窒素(N:タンパク質)の比率の事で、自然界ではだいたい 20:1 が平衡状態に近いと聞きました。
四井さんの C/N比 の話はホント面白いので興味があれば、ぜひ調べてみて下さい。ここで大事なことは、堆肥を作るには炭素と窒素が必要ということ。
では暮らしの中で、何が炭素で何が窒素かというと、
炭素は、藁・もみ殻・枯れ草・枯れ葉や、枯れ木・木くず・おがくずなど。
窒素は、野菜くず・緑草・おからや、米ぬか・油粕や、肉魚や残飯などの生ごみ、それから鶏や人間のおしっこやウンチなど。
炭素が微生物たちのエネルギーとなり、窒素は微生物の体を構成して、微生物が増えていく。
では私の暮らしの中に堆肥の資材は何があるか?
まずは田んぼから、藁(C)・もみ殻(C)・米ぬか(N)・くず米(N)。
落ち葉(C)・庭木の剪定枝葉(C)、日曜大工の木くず(C)。
野良猫のウンチ(N)、動物や昆虫などの死体(N)。
私たちの残飯や生ごみ(N)、野菜くず(N)・緑草(N)。
そして、11羽の鶏たちのウンチ(N)。
米ぬか・くず米 や 野菜くず・緑草 や もみ殻・木くずは、一旦鶏の餌となり卵をいただいた後に、鶏のウンチとなって堆肥に入ります。
鶏1羽が1日するウンチの量は約80g~100gなので、うちでは毎日11羽で約1kgの鶏のウンチが自動的に堆肥小屋に投入されているわけです。

寝る時はみんな仲良く並んで寝るのですが、この下に列状となって ウンチ(N) が投下されます。落下地点には、 稲わら(C) 落ち葉(C) もみ殻(C) などの炭素と堆肥が待ち構えています。
出来れば窒素と炭素の量を適切に調整できると効率よく発酵を進める事ができます。
ですが、窒素が多くなると炭素が不足し腐敗が起こりはじめ、小屋の中で匂いが発生してします。なので私は常に炭素が十分ある状態を作って、そこに窒素が加わると発酵が進む状態としています。
堆肥の資材はいつ入れるかというと、窒素である鶏のウンチは毎日1kg・年間365kgが自動的に入ってきます。他にも毎日の生ごみも随時投入されます。鶏に与えない方が良いと言われている野菜くずや生ごみもあります。だいたいの物は入れても鶏が判断して食べてなかったりするので、細かい事は気にせずポイポイ入れています。ただ卵の殻や鳥に関わるものはいれないようにしています。、
炭素はというと、まずはうちは毎月籾摺りをしているので、行き場のないもみ殻を毎月適量投入しています。
秋には大量の落ち葉を一気に投入します。今年も1.0㎥のトンパックに満タンの落ち葉を5杯入れました。この落ち葉があれば夏までは炭素不足は起こらないと思います。
ただ夏は気温も上がり発酵が進みやすく炭素が不足してきます。その場合は、小麦をやっている年は麦わら。麦が無ければ米の稲刈りの時に貯めてある切藁を投入です。

うちでは毎年田んぼが終わった後、藁は切り刻んで麻袋にストックしています。
この切藁は、建築の土壁を練る時の為でもありますし、土木の環境改善や石積みの為でもありますし、余れば鶏の堆肥にもなる何よりも万能な資材なのです。
切り藁は田んぼの稲架小屋に詰め込んでありますが、もっと必要なので置き場を考えねばです。

② 水
微生物が活動する為に必要な水ですが、少ないと発酵が進みませんし、多すぎると空気が入らず腐敗に進みます。ちょうど良いのは手でぎゅっと握って水気が浸み出るぐらいです。思ったより水分率は高いのですね。

以前屋根のない所で堆肥つくりをしていた時は、雨のおかげで水の調整ができず発酵が安定しませんでしたが、今回は屋根があるので、水分調整はこちらの都合でOKです。
以前ダンボールで堆肥を作っていた時は、容量が小さいので発酵を持続するのが難しく管理が大変でした。そこで今回はどでかい3坪の堆肥小屋ですが、容量が大きければ発酵は大変安定するので、数日ほったらかしても全く問題ございません。
しかし一つ問題が、それは乾燥による水分不足。
乾燥の原因は、まずは鶏が一日中攪拌してくれること。うちはそんなに良くはないですが、日当たりや風通しがよいこと。そして発酵熱です。
今は鶏の水替えの時にバケツで水を撒いていますが、たとえば雨水を利用してもう少し乾燥させない工夫を考えねばですね。

③ 空気
微生物が活動する為に必要な空気(酸素)。
空気を送り込むためには切り返しという作業が必要になります。
もちろん私も切り返しを行いますが、鶏さんも手伝ってくれます。

泥浴びしながら、攪拌してくれるのですね。
ただ、鶏さんだけでは下まで切り返せないので、月に一度は私もやります。

切り返しの様子。
まずは一旦片方(左側)に堆肥を寄せて、山を作る。

この時は冬だったので、落ち葉を投入しました。

今度は、反対側に山を作る。

そして、平らに戻す。
この作業の時は、鶏は個室に移動。
乾燥している所には水をかけながら切り返しを行います。
月に一度の力仕事ですが、こうする事で腐敗に傾かず良い発酵が続いているようです。
冬の温度が低い時は、湯気が湧きたち発酵の香ばしい香りが充満します。
目には見えない微生物の存在を感じる瞬間ですね。
4.堆肥をどう循環させるか
堆肥つくりを始めて、一つ根幹を揺るがす疑問が。
じつは、うちの田んぼも畑も今まで無農薬でやってきました。
もちろん、堆肥を入れれば育ちは良くなりますが、今まで育ててきた田んぼや畑の微生物たちの仕事を奪ってしまうと思うと、今の田んぼや畑に入れたくないなと思う気持ちがある。
一方この堆肥小屋の中では落ち葉・稲わらや生ごみ・ウンチが、新たな微生物に生まれ変わり土に還るという循環が始まっている。そしてこの土を畑に還し、それが作物となり私たちの体に入る事で循環がめぐる。40年前に祖父のやっていた循環に近づきたいという気持ちのほう強い。
さてこの堆肥、どう巡らせようか(笑
そろそろ1年ですが堆肥の容量も増え、以前よりも生ごみなどを分解する能力や時間も良くなってきました。堆肥を見たり、匂いだったり、手で触れる事で、微生物量が確実に増えてきたことを感じます。日に日に堆肥が育ってく様子は、こんなに心が喜ぶことなんだと知りました。
ただうちの場合は、堆肥小屋と言っても日々ホヤホヤの鶏のウンチが投入されているわけであって、未分解の発酵鶏糞とも言えます。使ってみないとわかりませんが、出来れば一度鶏のいない別の堆肥小屋に移して、再度米ぬかで熟成させもう少し完熟に近づけた方が良いような気がしてます。
まだ1年ぐらいはこのまま増えても、容量には余裕があるので、ゆっくり整理しよう。

5.鶏の飼い方
設計中の建主さんやインターンの方が来ていただいた時に、この暮らしぶりを見てもらうといつも話が弾んで楽しいいわけです。その時よく質問される鶏の飼い方と田んぼについて簡単にご説明です。私の感想なので、ご参考までに。

① 鶏の餌
うちの鶏の主なエサは自家製の発酵飼料です。以下の原料で発酵させたものをあげています。
・くず米(田んぼ)50
・米ぬか(田んぼ)30
・もみ殻(田んぼ)5
・鰹魚粉(陽商店)5
・カキ殻(コメリ)5
・堆肥(堆肥小屋から)5
これらに水を適度に入れて混ぜておくと夏は1日・冬は2日で発酵が始まり60℃ぐらいになります。その後2日間ほど混ぜれば出来上がりで、私はいつも2週間分ぐらいを一度に作ってストックしています。作る時間も15分程あればOKです。
他にも、クズ麦や麦のふすまやクズ大豆から、魚のアラなどなどあれば、一緒に発酵させてあげています。
私が15年前鶏を飼い始めた一番の理由が「くず米」の処分に困っていた事でした。お米を育てても、白米になるまでにいろんな形で副産物が出てきて、それを土に還すのに一番楽な方法が鶏さんだったのですね。
あとは、野菜くずや緑草を極力毎日たくさんあげるのと、お水を極力毎日交換してあげること。うちの鶏は、間違いなく私以上に健康なものを食べて育っているはずです。
2日ぐらいは空けても、多めに餌と水をあげておけば大丈夫なようです。長期で空ける時は、誰かに世話お願いできるよう日頃から卵を配りをしましょう。

② 鶏の数と産卵
鶏の種類や年齢や餌にもよりますが、私のやり方で2年ぐらいまでなら1週間に5個以上は生んでくれると思います。
家族の人数で考えるなら、1人1羽で十分すぎると思います。
小屋の大きさなら、1坪で3~5羽程度。
くず米の量で考えるなら、田んぼ1反2~4羽ぐらいじゃないでしょうか。
うちの場合は、田んぼが8反なのでくず米の処分を考えたら30羽分の餌は大丈夫ですが、今度は卵の行先に困ってしまいますので、とりあえず今は10匹です。今後増えても大丈夫なように小屋は広めに作りました。
鶏は生まれて半年後から卵を産み始めます。
あたりまえのことですが、鶏が一度卵を産み始めると、もう産卵を止める方法はありません。毎日出てくるのです。気付いたら家に卵が50個!!という日もあります。
もちろん家族では食べきれないので、現場や打ち合わせに行くたびに卵を配り歩くのです。

③ 鳴き声と匂い
「コケコッコー」と鳴くのはオスで、メスは「コッココッコ」と鳴いてる程度なので、メスだけであればお隣さんから10Mほど離れれば問題ないと思います。
匂いも先ほどもお話した通り、堆肥床にすれば問題ないと思います。
鶏の為には、日当たりと風通しは必要なので、出来れば広い土地に小屋を作ってあげたいものですね。

④ 鶏小屋
今まで何度もありましたが、鶏は獣に食べられます。
獣が狙っているので、侵入されないように小屋を作る必要があります。
実は先日、脱走した一羽の鶏が獣に持っていかれちゃいました。
獣にはご馳走になったと思いますが、かわいそうな事をしてしまいました。

⑤ 田んぼ
畑をされている方が多いと思いますが、田んぼをされている方は少ないと思います。ここでは鶏の餌を買うのではなく、暮らしの中で生産する為の田んぼについてのお話です。
田んぼの単位は1反(1000㎡=300坪)と言います。
目安ですが自然農的に育てれば、1反で約240kgぐらい収穫できると思います。私の経験上180~360kgぐらい。お米を自分で育てるとよく食べるようになるので 1人1ヶ月で 5kg 食べるとしたら1人1年で 60kg。家族4人分のお米ということにしましょう。白米が240kg生産できると、ついでにくず米と米ぬかがざっくり60kgついてきます。あと大量のもみ殻と稲わらもついてきます。
鶏は1日1羽100g の餌を食べるとすると、くず米と米ぬかで1日1羽80gで、1年1羽約30kg。2羽分の餌は確保できて、1週間に10個以上の卵がでてきますね。他にも餌となる食材が生産できたり頂く物があれば4羽ぐらいなら、餌を買うことなく暮らしの中で一緒に育てていけると思います。
もし田んぼを始めようと思われている方は、まずは0.5反ぐらいから小さく始めて、必要に応じて広げていかれたらどうでしょうか。例えば2人で0.5反であれば、トラクターも田植え機も稲刈り機もなくても手だけで十分できると思います。足踏み脱穀機と家庭用の籾摺り精米機は用意する必要がありますが、他には五感と体力があれば万事OKです。

私の家では、私の父も祖父も田んぼはやっておらず、私が2009年から始めました。
家の続きで6枚の田んぼがあるのですが、私がここに帰ってきた2009年に2枚の田んぼが空き、私がやることになりました。もう皆さんやめられてしまって、今では私が6枚で8反の田んぼをやっています。耕作放棄されている田んぼはたくさんあるので、やろうと思えば借りて始める事はすぐできると思います。
育て方ですが、無肥料や有機であったり不耕起であったり様々な方法があります。収穫や貯蔵の方法もそうですが、自分の目的に合致し、時間的にも費用的にも無理なく続けられる方法がよいですよ。まずは小さく始めてみて下さい。
私の場合。
私が田んぼを始めた頃は、自然や環境に良いことがしたいというのが一つの大きな目的でした。
家の前の田んぼが耕作放棄地となって荒れてしまうぐらいなら、私がやって田舎の風景を残そうと思い始めました。できれば無農薬で不耕起の手植えで自然農に近い方法でやりたいと思い、一部やってみました。しかし当時不耕起の手植えは限界を感じて諦めてしまい、今では機械は活用しながら続けています。無農薬はずっと続けており今年で18年目になります。
種は自家採取し、種まき苗作りからやっています。ハウスはありません。5月の連休明けの温かくなってから家族総出で種を播くので、周りの皆さんより田植えは遅く夏至の頃になります。田んぼが始まると季節に敏感になり、なんだか自然との距離が縮まったように感じます。田起こしや代掻きといった田植えの準備はトラクターを使い、田植えは機械で植えるので苗箱で育てています。前年に収穫した一粒の米から苗が育つ姿は何度見ても感動です。無農薬なので、肥料や除草剤は使いません。雑草は、時間がある時に出来る範囲でエンジンの除草機と手で取っています。ほとんど雑草をとる時間がなかった年もありますが、その年は収穫量が半分ぐらいに減りましたが、ただそれだけの事です。しっかり草取りをすれば、周りの慣行農法と同じくらいの収穫ができる田んぼに育ってきました。目には見えない土の中の微生物の存在を感じる瞬間です。
秋には稲刈りです。稲刈り機で刈って稲架にかけて半月ほど自然乾燥しています。8反の稲架かけは5日間ほどかかりますし、脱穀から管詰めも3日間ほどかかります。、時間のある時や人手がある時に合わせて、少し無理して頑張っています。そして大変な稲刈りの後の収穫祭は家族や友人たちとの大切な時間です。脱穀後は籾のまま納屋の缶に入れて常温で保存し、毎月家で籾摺りして精米していただいています。自分で育てたお米を摺りたてでいただく、なんと贅沢な事でしょうか。もちろん食べきれないので一部売ったりもしています。田んぼの後片付けも、急ぎはしませんがひと仕事です。稲架を片付け藁は必要な分をストックして、残りは切り刻んで田んぼにバラまかねばなりません。
一方コンバインで刈れば8反は1日で終わります。稲架の片付けも藁のバラまきも必要ありませんが、ライスセンターの都合に合わせて運搬する必要があります。油を燃やして乾燥させれば一晩で乾き、籾摺りも1回て終わらせます。玄米なので冷蔵庫での保管が必要です。油や電力などエネルギーに頼る部分が大きいのですね。
私のやり方は自然エネルギー頼りなので手間はかかりますが、自分の家で完結し自分都合で動けます。稲わらも手に入りますし、運搬や機械乾燥の必要もないですし、天日干しのお米は籾のままであれば生きいるので冷蔵庫も必要ありません。生きたお米は来年の種となって続いていきます。最近になってこの種を育てている感覚がとても心地よいのです。
いつかは、トラクターと田植え機を使わずに田植えが出来るようになりたいと思っています。田植え機で植えれば8反は1人で1日で終わってしまいます。でも何日かかるかわかりませんが、田んぼは牛で耕して、田んぼの苗代で苗を育てて、みんなで手植えができたら、それはそれは大変なことになるだろうとワクワクしてしまいます。
トラクターを売って、牛を買うか。
その前に、牛の家でも設計しておこう。
牛の家の屋根は、草葺きしかありえないな。

というわけで皆さん「鶏のいる堆肥小屋」楽しそうだと思った方は、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか(笑
その時間があったら、仕事して卵とお米を買ってきた方が効率がいい!という声も聞こえてきますが、もちろん効率を求めるなら圧倒的にその通りです。
でも興味のない事までして効率上げてる時間があったら、最初から興味がある事を最短距離で求めた方がシンプルです。私はそう考えてやり始めてしまいました(笑
5.コンポストトイレ
序章がかなり長くなりましたが、ここからが本題です!
はい、今回何を書こうとしたかというと、まずは自分の排泄物を循環させることから始めようという事です。
鶏と人を比べてみるとこんな感じでした。
鶏が1日にするウンチ 100g
人が1日にするウンチ 200g
ということは今の堆肥小屋は5人分のウンチを分解し続けている状態。
人が1日にするおしっこ 2L
5人としても1日10L、これも今の堆肥小屋のサイズなら全く問題ない。
なるほど、コンポストトイレ恐るるに足らずですね。
問題は、日々の維持管理と配置。
日々の維持管理は一度やってみないとわからないので、まずはTry & Error ですね。配置は、鶏のいる堆肥小屋とは別でもう一つ熟成用の堆肥小屋が必要になります。これは Try & Error というわけにはいかないので、熟考案件。
また進みましたら、報告します。

さいごに
2009年に29歳で岐⾩の実家に戻った理由は、⽥舎暮らしをしながら⼦育てがしたいと思ったからでした。それまで、漠然と⾃然を守ることに繋がる仕事を探していましたが⾒つけることはできず、私に出来る事は昔の環境負荷の少ない⾃然に従った暮らしを実践する事しかないかなと考えたからです。
実際に⽥畑を始めたり⼭の整備に⾏ったりしましたが、昔の暮らしの表⾯的な事を真似していただけだったので、この⾏為をすることが何に繋がるのか?どうなることが⽬的なのか?環境負荷を減らすとはどういうことか?全く整理できていませんでした。
その後建築という狭い分野で⾃然環境を考え始め、次に⼟⽊まで少し広がり、今は素材の⽣産の場である⾥地⾥⼭まで来たところで、以前諦めた暮らしをもう⼀度実践しようと思うようになりました。⾥地⾥⼭と⼈の暮らしと歴史は切り離す事ができなくて、そして今私は150年前の祖⽗の祖⽗の時代から続いているこの⼟地で暮らしています。
ここでの暮らしと私のこれからの家つくりがどう繋がるのかまだ⾒えてはいませんが、繋がるまで続けますよ。

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