2023年秋、材木の天然乾燥の合間に、石据えをしました。
建前のまだ1年前になるのですが、早めに据えて、土を育てる時間を確保です。
今回は「雨の森」の轟さんと坂本さん、そして最初の数日だけですが今西さんの3人で作業していただきました。
轟さんと坂本さんは、九州で環境改善を実践しており、現場やワークショップなど忙しくされているお二人です。とても魅力的な人柄で、たくさんの人たちを環境改善に巻き込んで活動されてます。
現場の様子です。今回建てる場所は、農地の一角です。
今回も第一種地盤で地盤増幅率は小さく、伝統工法の家との相性は最高です。
当初は道路際の畑に建築する予定で進めていましたが、最終的に農道の奥の梅林の一角に建築する事にしました。
道路際の問題点は、ご近所との関係もあって大きな木を育てる事が難しい事。良い点は、敷地内の車の動線が短くなったり建築しやすかったり、土地を傷める面積が小さい事ですね。特に今回は、地盤調査の結果で支持層が結構下だったので、地盤補強の事も考えると、道路際かなと考えていました。
畑の奥の梅林の問題点はその逆で、車の動線や地盤補強など石場建ての家を作る為に、随分土地傷めなきゃいけないんだなという事でした。良い所は、なんといっても家の回りに大きな木を育てやすい事。木が植えられるなら、地盤が柔らかくても杭打ち栗石組の地業が出来れば大丈夫。車の動線も水が浸透する路盤整備をすれば大丈夫。
何より、風景になりそうですからね。
というわけで、理想は奥の梅林。
その為に必要な事は、まずは土木の仕事をお願いできる職人さんを見つけられるか。また、建て主にも考えを共有して頂き、暮らしながら道や雨落ちなど周辺の環境の維持をして頂けるか。もう一つは地盤補強。
出来なければ、無理せず道路際と考えていました。
建て主にそのままお伝えしたところ、ぜひ梅林に建てたいとの事。
わざわざ九州から私に連絡をしていただいた事、自然農法を実践している事もあり、考えの共有は出来てはいました。職人に関しても、轟さんのお話をしたところ、建て主は直接連絡されて、ワークショップに参加されて、早速仕事のお願いまでしてこられました。
これなら大丈夫、あとは地盤補強。
今回は平屋でそんなに重くないし、轟さんが受けてくれるなら、平板載荷で杭打ち栗石組で行こう!という事となり、現代土木は一切入れずに、伝統土木で進める事にしました。
平板載荷試験については、改めてまとめます。
建て主と轟さん。
では、ここからは現場の様子です。
今回の石は、この丸石です。
石の彫刻をされている坂本さんに用意して頂けました。
丸くて、大きくて、柔らかそうです。
今回の素朴な民家には、この石はちょうど良さそうです。
こちらが坂本さん。
石の彫刻が仕事で、この現場に入る前にイタリアで大きな彫刻の仕事をしてきたとの事。
その時の話を写真を見せて頂きながら説明してくださったのですが、石の彫刻の話が聞けるかと思ったら、そうではなく彫刻を据える下の地盤の環境改善の話でした(笑
坂本さんにとっては、彫刻が石場建ての家みたいなものなんでしょう。
まずは「い-一」に据える石選び。石の大きさや奥向きに合わせて、掘方の深さや大きさが変わります。
私も良くやりますが、ここを適当にすると仕事が増えるので、慎重に。
石の高さに合わせて、まずは穴掘り。
次は杭打ち。
杭天はバーナで炭化。
そして久しぶりに見る、今西さんの小端立て作業。
作業は早いのに、しっかり組まれていて、版なんです。
やっぱり版になる事が大事、さすが踏んでる場数が違います。
石組の隙間には、炭と有機物。
そして、礎石を据える。
栗石で周りを詰める。
単流を敷く。
タンパーで締める。
粉々落ち葉敷き。
手間はかかりますが、確かに有機物の密度は高まるし、風で飛んでいかないし、菌糸は育ちやすそうですよね。今西さんのやり方は、丁寧なんですけど、とても理にかなっていて、結局早い。
水をまく。
なでなで
よしよし
完成です
今回は、そもそもの土地に45cmぐらいの高低差があり、そのまま据えているので石の天端もバラバラです。場所によっては急斜面や段差の所もあります。背の高い石であればいいのですが、そういう場所は難しい。
今回もこんな段差の場所がありましたが、ここも平らにして据えるではなく、砂や土を使って安定させる。
石場建ての下は、浸透させる事を考えすぎると、逆に乾燥している事があります。
これからは、場所や菌糸や草木の根の育ちに合わせて、土や砂で保湿する事も考えねばですね。
ここからは石据え後半年を経過した春の様子です。
そして、建前前の夏の様子。
建前に備えて、草刈りしました。
建て主の自然農園。
ただいま仕込み中の荒壁土。
さて、乾燥中の材木も乾いてきました。
次回は、刻みです。