瑞浪の屋敷復元4 コンクリートを使わない駐車場

12月に「は組」の畠山さんたち施工チームが現場に入り、土木工事がスタートしました。
今後の参考に記事にしました。

 

はじめに

この土地には車を停める場所もなく、近くに駐車スペースもなかったので、建築工事の前にまずは敷地内に駐車場を作ることから始まりました。

 

施工面積

駐車場を作るといっても、車のなかった時代の敷地は道路へのアクセスがわるく簡単ではありません。この土地もまさにそうでした。
北側の小さな道路に少し接道しているだけで、建物を挟んで南側に広大な庭があります。
駐車場は南の庭の一部に作るしかないので、北側の道路から南の庭までの道も必要となります。車の台数も多めに確保する事となり、、、

1000坪の敷地に、道幅 3 M × 長さ45 M = 面積約 45坪の道と55坪の駐車スペース。
なんと、施工面積約100坪。住宅設計中心にやってきた私にとって、過去最大です。

  

 

施工方法

次に道や駐車場をどう施工するかですが、一般的には砕石敷き、またはコンクリート土間・アスファルト舗装だと思います。

ただ、この土地はたくさんの木々が育つ豊かな土があり、その木々の根は民家の縁の下に入り込み土地と民家が一体となって空気や水を循環させてくれています。この環境を改善する機能が、この土地の一番の魅力だと考えると、それを損なわない施工が必要です。

例えば、そこに砕石を敷いただけでは、車が通るたびに砕石が沈んでいき砕石を追加しているうちに、水たまりができるカチカチの地面になる。水たまりができるという事は、水は浸み込まない。
またコンクリート土間・アスファルト舗装は、雨水を浸透する事ができず、これも水が浸み込まない。またコンクリートやアスファルトで地面を覆うと土中の水は動けず場所によっては滞水(常に水溜まった状態になる)してしまう。

水が浸み込まない地面や滞水している土中には空気はこない。空気がなく呼吸ができない土中の木の根は後退し、新たに入ってくる根もない。そのうち木々は弱ってしまい、いつか伐採することになりかねない。そうなっては、この土地の良さが台無しになってしまう。

というわけで、今回は地面への水の浸透を妨げない土木工事を採用する事となり、いつもの栗石敷き(栗石小端立て下地砕石仕上げ)の駐車場と道を提案させていただきました。

 

 

施工費用

栗石敷き駐車場の予算は、コンクリート土間よりも初期費用は増えるので、デメリットではあります。

しかし、耐用年数 30年?と言われるようなコンクリート土間と比べると、水が浸み込む栗石敷きの駐車場は草木や生き物が入り込み昔の石畳のように永く持つ。また手仕事で作ってるから、調子が悪い所は施主さんが手で直し続ける事でいつまでも持たせることができる。
30年に一度コンクリートを打ち直しコンクリートがらを産廃で出すことを思うと、栗石敷き駐車場の環境負荷はとても少ないですよね。

他にも、栗石敷き駐車場は草木や生き物が入り込み、生き物たちが庭を育んでくれる。後から、人間都合で植栽を植える造園仕事もずいぶん減ります。

栗石敷き駐車場の費用の大部分は人件費ですが、ワークショップを取り入れたり施主も参加する余地があり、上手にやればお安くなるかもしれません。

もちろんワークショップの目的は人件費ではなく、人の繋がりです。その土地に関わる人の関係性が増えれば、きっとその土地の生き物の多様性も広がりより豊かになる。このお金に変えられない関係がコモンにつながっていくんでしょうね。

というわけでメリットもたくさんあるの魅力的な施工方法になのです。
単純に初期投資だけでなく、長い目で見れば環境にも財布にも優しいんですよ。

  

 

今回もワークショップと施主参加で行いました。

 

工事風景

では実際の工事の流れです。
当初はこんな感じです。隣地境界には防草シートが敷かれ、空き家のまま草刈りだけされてきました。

 

 

表層すきとり

まずは表層部のすきとりを行います。
約20cmの栗石を小端立てするので、目標の高さより20cm低く掘り整地します。

 

 

すきとりしていると、石などが出てきます。
これらは廃棄物として捨てるのではなく、素材として石積みや敷石として再利用していきます。
コンクリート土間やアスファルト舗装の時はコンクリートブロックを使うようなところでも、栗石敷きの道路の時は極力自然の石を使います。

  

 


こちらは南の駐車場。
すきとりが終わったら、栗石の搬入です。

次は栗石敷きの前に、残土の話。

 

 

残土の処理

100坪 約 330㎡を20cm すき取ると、単純に66㎥。
大量の残土が出るのですが、今回もこの敷地内で処理します。

例えば、こんな感じで土の山を作ります。
ここには木を植える植栽ゾーンだったり、揚げ床の畑にしてみたり。

 

 

これは何でできているかというと、土の塊が積まれています。 
この地域の土は粘度質が多いので、石積みの代わりに粘土積みが成り立ってしまうのですね。

 

 

この土の塊を積んでる人は、黄色の服着た石積職人のグッティ―さんです。
別に石にこだわっているわけではなく、持ち上げられるものであれば何でも良いとの事です。
残土の中から、土の塊を運んでは、積み上げてくださってます。

 

 

こうして、広大な庭の中の邪魔にならない所、いくつもマウント作って残土を処理していきます。もちろんコンクリートブロックなどは使わず、自然の素材と手仕事で。

 

資材

作業の前に使う資材の紹介。

まずはこちらのゴツゴツした石が、栗石です。
たとえば、栗石の200というと長辺が200mm。栗石の150-300というと長辺が150mmから300mm。

やってみるとわかるのですが、全部同じサイズだと場所によっては他のサイズが欲しくなるし、バラバラ過ぎても手間がかかります。メインのサイズ8割、バラバラ2割ぐらいが一番作業がはかどるような気がします。

 

 

次に丸太です。
今回は松です。杉の場合もあります。

横つかいの直径は100mmから150mmで、出来るだけ長いものを用意。長ければ切って使い、残りも使う。
縦つかいの杭用の直径75mm。炭化させたものの方が良く、長さは600mm・900mm・1200mm・・・のように何種類か用意する。長ければ切れば良いが、切った残りは使いづらい。

 

 

写真撮り忘れましたが、他にも有機物として大量の稲わらと落ち葉、それと炭(竹炭・燻炭)。

 

小端立て

まずは、出来上がった所から。

横の丸太は水平に据えられており、縦の丸太は横の丸太を固定しつつ、雨水の浸みこみを促す為に杭打ちしています。
この横の丸太がガイドとなって小端立てが進めていくと、不陸の少ない平らな面が作りやすいのです。

 

 

小端とは石の細長い部分の方のことで、小端立てとは細長い方を下に突き刺して立てる事をいいます。よく見ると、上部は石がびっちり並んでいますが、下部には空間ができます。この空間に有機物や炭を詰め込むことで、微生物や草木の根や虫たちが暮らす空間を作っているのです。

次に、栗石が石積のように、石と石とがしっかり組んであるのがわかるでしょうか。一つの石を叩くと五個ぐらい先の石まで振動が伝わるくらいしっかり組みます。そうする事で一つの石が周囲の石と一体となって大きな路盤ができあがり、車が通っても全面で支えているから沈まないというわけです。

この大きな二つの要素がそろう事で、地面に水が浸み込む構造を作り維持することができ、生き物が増ええていく。生き物が増える事でさらに土の奥深くまで浸みこむ。私たちが小さなきっかけを作る事で、土中には生き物たちの正のスパイラルが爆発して、どんどん豊かになっていくのです。

 

 

丸太の間隔は、石の天端をそろえる事が目的の一つなので、3Mおきぐらいに配置します。
ワークショップの場合は、丸太の設置をスタッフの方がやっていき、栗石の小端立てから参加者の皆さんとワイワイやっていきます。

 

 

また水の通り道や、掘っていて途中で水の浸みこみが悪そうな場所があれば、深め掘ったり杭を多めに打つなどして、雨の後に水が滞水しないように仕事をします。

 

石積み・素掘り側溝の補修

こちらは黄色の服着た土塊積職人のグッティ―さんです。

 

 

古い敷地には、家の周囲や敷地内にも素掘りの側溝があります。
水が湧きだす所や水が集まる所には水路や池が作られてきました。湧き出しを促す事で、空気も循環させる。私が住んでいる地域も子供の頃は、まだそういった水路や池が一部残っており、その周囲には大きな木々があり、生き物がたくさんいました。

しかし、ことごとく水路はU 字溝となり池はコンクリートの防火水槽に変わりました。そうなると、その場所の水の湧き出しや水や空気の動きは止められ、土中は乾燥が始まったり滞水する。そのうち木々の根が弱って伐採され、土は脆くなり全てがコンクリートやアスファルトに覆われて、最後にはその場から生き物たちが姿を消してしまう。

 

 

この土地にも埋もれてしまった所もありましたが、残っている所は石を積み直して素掘りの側溝を復活させていきます。出来れば埋もれている所も再生したいですね。
そして、塊を積むところには必ずいる黄色の服着た塊積職人のグッティ―さん。

田舎ではものすごいスピードで、素掘りの側溝や池やから石積みなどの里山が失われています。思考が停止し惰性で続いているような気がする公共工事が、災害があった後の復興かと見間違えるような勢いでコンクリートを打ち、生き物たちが消えていっています。

多分この集落の周囲も10年後には今以上にコンクリートで覆われ、土地は乾燥し生き物は減っていくと思います。しかし、もし流れが変わった時には、この敷地がこの地域の再生の起点となればいいなと思う所です。

 

進捗状況

作業は、月曜日~金曜日の5日間を1クールとし、今回は2クール。
水曜日にワークショップ開催で行いました。

 

 

こちらは1クール目の水曜日の様子。
ざっとですが、月曜日にすきとり残土処理、火曜日に丸太施工と栗石搬入、水曜日に小端立て、木曜日丸太小端立て、金曜日丸太小端て・・・といった具合で進めていただきました。

 

 

こちらは2クール目の水曜日の様子。
もちろん2クールでは全部終わりませんので、前後で作業をしていただいています。

 

 

こちらが完成した姿です。この長い道の奥に駐車場があります。
最後、栗石の上に砕石を敷いてならして完成です。
これが、コンクリートを使わない栗石敷き(栗石小端立て下地砕石仕上げ)の駐車場と道です。

 

ここにも黄色の服着た塊職人のグッティ―さん。右側の石垣は、この土地から出てきた石で積んでいただきました。

 

ワークショップの様子

 

今回は平日の水曜日開催でしたが、ほんとに多くの方に来ていただきありがとうございました。

 

 

ワークショップは作業を見て覚えていただくことが目的の一つですが、一緒に作業する参加者さん同士がお友達になって繋がっていただくことも目的の一つです。
というわけで、いつも最初にちょっと時間をいただいて皆さんの自己紹介から始まります。 

 

 

そして作業が飽きた頃に・・・(笑、
ランチタイム。 

 

 

外で火を囲んでみんなで食べる、美味しいごはん。

 

 

そして、疲れた頃に休憩タイム。
こんな感じで皆さん作業しながらお話しながらのワークショップです。

 

 

今回は途中、建物見学も行いました。
古民家の見どころや、古民家を購入する時に見るポイントなど。

 

 

また、この敷地の建物と木々との関りの話など。
皆さんのご質問に答えながら、この敷地の価値を少しは伝えられたかなと思っています。

 

さいごに

今まではこんな仕事ができるようになりたいなと思い続けて、自分で手を動かして言葉にしてお施主さんに提案してきました。

最近は、こんな良い仕事をもっと広めたい。
その為には、共感していただけるお施主さんと、仕事を受けてくれる職人さんと、心から良いと自信をもって提案できる作り手の、三者がもっと増えないといけないですね。
今後も現場は続きます。もし、興味のあるお施主さんや職人さんや作り手さんがいらっしゃれば、ぜひ現場に来ていただき一緒に試行錯誤しながら、実践していきたいと思っていますので、気軽に連絡下さい!