愛知の石場建ての「軸組み模型」です。
「愛知の石場建て」は、ボルトや金物を使わない「木組み」、合板や筋かいを使わない「土壁」、建物と基礎をアンカーで固定しない「石場建て」、柱梁が見える「真壁」で作ります。
上記のような家作りを「伝統工法」だと考えています。
表は「伝統工法」と「在来工法」の主な構造の比較です。
伝統工法 | 在来工法 |
木組み [木と木を組む] [墨付け 手刻み] | ボルト [木を金物で固定] [プレカット機械] |
土壁 [貫・竹小舞・土壁] | 合板 [構造用合板・筋かい] |
石場建て [建物は基礎とフリー] | アンカー [建物は基礎と固定] |
免震 [建物が変形して逃がす] | 耐震 [建物を固めて耐える] |
真壁構造 [柱梁の構造が現し] | 大壁構造 [柱梁の構造は隠れる] |
無垢の木 [天然乾燥・低温乾燥] | 無垢の木・集成材 [高温乾燥・接着剤] |
限界耐力計算 | 許容応力度計算 |
□「伝統工法」の魅力は「100年以上、永く住み継ぐ」事を考えた構造であることです。
■「在来工法」の魅力は、早く安く大量に誰でも作れ「約35年ほど快適に住む」事を考えた構造だと思います。
理由は「地震時」と「維持管理」の違いです。
上の図は「愛知の石場建て」の軸組み図です。
左は今回採用した「伝統工法」、右は仮に「在来工法」を採用した場合。
「地震時」の比較。
□「伝統工法」は、変形能力と耐力を持った異なる要素が、5段階で地震に抵抗する柔構造です。
最初に、剛性の高い土壁が働き、次に小壁・袖壁が働く。
三番目には貫、四番目には差鴨居と足固めが抵抗する。
最後に、柱脚が礎石から飛びのく。
■「在来工法」は、筋交い(構造用合板)頼みの一本勝負の剛構造です。
両者とも、構造が機能している限り地震に抵抗するが、
□「伝統工法」は、木と木の接合部の寿命で決まる。
■「在来工法」は、合板・集成材の接着材の寿命、木とボルトの接合部の寿命で決まる。
次に「維持管理」の比較。
□「伝統工法」は「石場建て」で床下に風を通して白蟻被害を軽減し、「真壁構造」で、柱・梁・足固めが現れている為、傷んでいる個所の発見・修理を容易にしている。
■「在来工法」は「基礎の立ち上がり」があり「大壁構造」で、柱・梁・土台は隠れてしまい、傷んでいる個所を発見しづらく、修理も容易ではない。
地震時と維持管理が、「伝統工法」と「在来工法」の大きな違いです。
次回は、細かい部分の説明に進みます。