8月の見学会・WSのお知らせ

インターン日記 Kさん(2025年3月)

もう1年以上前のことですが、インターンに来ていただいた K さんに今の近況報告のインターン日記を書いていただきました。この記事が誰かに伝わって、楽しさが広がって、大工さんが増えますように。

 


はじめに

 

トシ建築 大工の川合と申します。
トシ建築は岐阜県八百津町を拠点とし、親方のトシさん、4年目の兄弟子のトムさん、2年目の私の3人で大工仕事をしています。

トシ建築 Instagram

水野さんから多大な影響を受けてしまい、未経験から大工に転身し、早いもので1年半が経ちました。
水野さんには大工になる前に、ワークショップに参加させていただいたり、インターンでお世話になり、将来のことについて色々と相談させていただきました。トシ建築では水野さんが設計した家の大工工事をさせてもらうこともあり、今も日々お世話になっています。

インターンに参加した経緯やその後のことについて是非書いてほしいと水野さんにお願いされたので、あの水野設計室のブログに自分の文が載るのかと考えると恐縮ですが、書かせていただきました。

 

インターンに参加した経緯

 

私は大学・大学院では工学部機械系を専攻し、卒業後は文具メーカーに就職し製品設計の仕事をしていました。
ちょうどコロナ禍に就職と結婚をして、これまで当たり前にあった生活が制限され、不便な生活を強いられたことをきっかけに、生きていく上で本当に必要なことってなんだろう?今のままの暮らしで大丈夫なのだろうか?と考えるようになりました。

妻と対話を重ねる中で、あらゆることが自給できることと、生活環境が大切ではないかと思うようになりました。

そんな考えに加えて、自然が好きなことや、何でも自分で作るのが好きなこと、循環する暮らしに共感することなど、色々な思いが相まって、それらを実現できる環境へ移住することを考え始めました。

そして数年後、仕事を辞め、縁のあった山奥の町に移住することにしました。次の仕事は、移住先で得られる体験や感覚を元に考えることにしました。

 

移住先では空き家の賃貸物件に住むことにしました。
前の住人の残置物を自分たちで片付けて、素人でもできる範囲でDIYをして住み始めました。

自分たちなりに頑張って直してみましたが、かなりお粗末な家だったので虫や小動物、カビや雨漏りに悩まされ、冬は家の中でも氷点下で、家の快適さがどれだけ大事であるかを痛感しました。

そんな不憫な家を少しでも快適になるよう助けてくれたのがその家の大家さんである、地元のおじいちゃん大工さんでした。困った時に電話すると直ぐに駆けつけて、悪い部分を直し、颯爽と去っていく姿は、ほんとにヒーローのような存在でした。

仕事をどうしようと考え続けていた私にとっては、大工の大家さんに救われた出来事は「家」に携わる仕事に就きたいと思う大きなきっかけになりました。

ただ建築について全く知識がなかったので、とりあえず半年間、職業訓練校の建築コースに通うことにしました。

 

また仕事の別の道として、自然環境を守るような仕事にも興味がありました。
山奥に移住をして日々豊かな自然の中で暮らすことで、里山という環境の豊かさや大切さに改めて気付かされ、少しでも自然が活き活きとした場所を残していきたいし、取り戻していきたいという思いも一段と強くなっていました。

そんな中、職業訓練校の卒業が近づき、仕事を決めなければいけないタイミングがやってきました。

しかし建築や自然関連の求人を探しましたがどうにもピンと来るものは見つかりませんでした。早く仕事を決めたい焦りはありつつも、妥協して決めたくはなく、日に日に悶々とした気持ちが大きくなっていました。

そんな時にたまたま見つけたのが水野設計室のホームページでした。

「これだ!!!!!自分がやりたいのは!!!」と一瞬で心を掴まれ、悩みが一気に吹き飛び、やりたいことが見つかった嬉しさと安堵と興奮が一度に押し寄せて夜も眠れませんでした。

建築の道と、自然をより豊かにする道はこれまで完全に別の道だと思っていましたが、水野さんはそれらを両立させていることに驚いたのと同時に、こういう家を作りたい!!と強く共感しました。

ちょうどそのタイミングに、私は土中環境に強い興味を持っていて、この先大事にしてきたい考えだと思っていたので、水野設計室のホームページに「土中環境」というワードがあったこともシンパシーを感じました。

それに加えて、水野さんが私と同じ八百津町出身だったことも、これは絶対に運命の出会いだ!!!!!と心の底から思わされました。

 

色々なことがピンポイントで私のツボ突き、いてもたってもいられず、水野さんに手紙を書きました。そしてその後ワークショップやインターンに参加させてもらうことになりました。

 

 

その後、大工になった経緯

 

正直最初は水野さんのような設計士になることしか考えていませんでした。

ワークショップで水野さんにお会いしたときに、これまでの経緯や、水野さんのような家づくり・暮らしをしたいことを話して、仕事について相談させてもらいました。その時に「大工になるのがいいんじゃない?」と言われて、そこで初めて自分が大工になることを考え始めました。

具体的には次のようなアドバイスを水野さんからもらったり、自分なりに考えて大工になることを決めました。

・水野さん自身が大工をやっておけばよかったと後悔していると話していたこと

・大工になるなら若いうちから始めないと、年を重ねてからだと体力的に難しくなってくること

・大工を経験していれば、その後建築業界川上川下どこでも活かせること

・ワークショップやインターンで出会った大工さんたちは皆さん優しくてオープンで楽しそうに仕事しているのが印象的だったこと

・移住しておじいちゃん大工さんに助けてもらって救われ、人に必要とされる仕事だと感じていたこと

・大工の技術は人に教えてもらわないと絶対に身につかないと感じたこと

・家が作れるようになったら、身の回りの木製のものはだいたい作ること(自給)ができるようになるんじゃないかと思ったこと

・これまでの経験で、私はしばしば頭でっかちになるばかりで実際には手は動かせないということが多く、コンプレックスを感じていて、そこを変えたいと思ったこと

 

そして水野さんに八百津町にあるトシ建築を紹介していただきました。

まずは1日お手伝いに行かしてもらい、その後お互いにうまくやっていけそうか確認するための2ヶ月の試用期間を経て、正式に雇っていただきました。

大工未経験の私を雇ってくれたトシさんの器の大きさには本当に感謝しかありません。

 

 

大工になってどうなったか

 

まず、毎日楽しいです。

もちろん、夏でも冬でもほとんどが空調のない場所での作業ですし、力仕事なので身体は疲れますし、キケンもつきまといます。自分には大工の仕事は向いてないなと思う時もしょっちゅうあります。それでも、それ以上に、毎日自分の手を使って何かを作って、目の前で出来上がっていくのが楽しいです。

石場建ての新築、古民家の再生、在来軸組工法の新築やリフォーム、大工工事以外の作業、他の大工さんの応援などなどなど1年半の間に本当に色々経験させてもらいましたが、毎度丁寧に指導していただけるおかげで、毎日学びがあって、少しずつですが自分でできること、作れるものが増えて、やりがいを感じます。

また、自分が使うための家具や道具を作ったり、自宅の一部を修繕したりと、普段の生活に大工の経験が直接活かされて、少しずつ暮らしが豊かになっているのを感じます。端材や廃材から作ることが多いですが、ゴミから価値のあるものを生み出したぞ!と思えることもなんだか幸福感があります。

作ることだけではなく、仕事を通して出会う人たちは、これまでの生活では出会って来なかった多種多様な方がいて、みなさん良い意味で変わっていて面白いですし、日々色々な刺激をもらえています。

大工になる上で一番心配だったのが身体がついていけるかという点でしたが、周りの助けもあってなんとか一年半倒れることなくやれています。昔から運動は得意ではなく体力も筋力も全くなかったですが、以前と比べると明らかに、食事量も筋力も骨量も増え、姿勢が良くなり、健康的になったと思います。ジム要らず!

そして、トシ建築では自然素材の材料を使ったり伝統的な木組みを用いることが多いですが、やっぱりできあがった空間は、かなり感覚的ですが、スーッとして気持ちが良い気がしますし、作っている自分も心地良いです。こういう自然にやさしい家が増えていったらなぁと思います。

紆余曲折あって進んだ大工の道でしたが、選択は正しかったと思います。トシ建築で働けて本当に良かったですし、トシさんトムさんには頭が上がりません。
今はまだ不甲斐なさを感じる毎日ですが、1人前になれるよう頑張っていきたいと思います。そして自分に見合った自分ならではの大工像を今後じっくり模索していきたいです。
また将来的には自分の家を可能な限り全て自分で手がけられたらなと思っています。そして、そこで周りの環境が少しずつ良くなるような暮らしを作っていきたいです。

振り返ってみると、色々考えて悩んだ末に、移住やインターンの参加、大工への転身と、自分としては結構思いきって舵を切ったここ数年でしたが、行動した先には良い出会いや新しい発見があって、以前より自分の価値観や大事にしたいものが定まってより心地よい状態に近づいていっている気がしています。

今後も節々で立ち止まって考えて行動していくことが大事なのかなと感じています。新しい世界が広がってこの先やりたいことがたくさんたまっている状態ですが、最近子どもが産まれ忙しい毎日です。家族との暮らしの時間を大事に、できることから少しずつぼちぼちやっていこうと思っています。

もし1人でも興味を持ってもらえたらと思って書いていたら長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 


 

Kさん、そして遠藤さん、ありがとうございました。

水野設計室では、設計中の石場建てが数件進行中です。
相変わらず、初めましての大工さんや、独立して初めて一棟手刻みします・・・、という大工さんたちとも仕事を進めています。

ただ、そういう大工さん達は、一人親方であったり、お弟子さんが少なかったりで、実は弟子(社員)を募集したりしています。

天然乾燥の無垢の木でものづくりに向かいたい方、
墨付け手刻みで一棟建てられる大工になりたい方、
手に職をつけて自分の手で暮らしをつくりたい方、

現場はあるので、ぜひビビらず飛び込んで来てください!

私は責任は取りませんが(笑、
仲間の最高の親方たちをご紹介いたします。