関ケ原の石場建て1 松山

八百津の松山へ、梁材を選びに行ってきました。

今回は最初から大工さんと小屋組みに地松を使うつもりで工期を調整してきました。最近の地松は白太に青カビが入りやすいですが、極力松を使いたいという事で、まずは切旬までに構造図を決めて伐採し、梅雨の前に建てる事にしました。

材木は東桧の桂川さんに相談したところ、10本ぐらいの地松の丸太ならこの辺の山で集まるし、良いのがなければか市場へ行けば何とかなるとの事でした。
この辺の山で集めるということは、まずは市場に材木を出している木こりさんたちに今入っている山に松があるか聞いて、目標の長さや太さや曲がりの本数を探していきます。

今回はちょうどうちの近所の松山の隣を間伐に入っているとの事で、間伐ついでに松を伐り出して頂けることになりました。

 

 

こちらが、松山です。ちょうど良い長さ太さの松が多数ありました。
地松は数年前から松枯れの影響で手に入りにくいという話も聞きますが、ある所にはあります。

松は、草刈りされる山道沿いでよく実生を見かけますが、痩せた土地で植生遷移の序盤から育つイメージです。なので強い木の印象はあるのですが、虫(松くい虫・マツノザイセンチュウ)にやられて枯れていっています。

虫にやられやすいという事はそもそも松の木が弱っているという事であり、木が弱るという事は山の土壌が本来の健康な状態ではないと聞いた事もあります。
逆に痩せたところで良く育つ木だから、人の手が入らず管理されない山が増えて松が育ちやすいやせ地の環境が減っているからとも聞きます。

松茸も人が山に入らなくなったら生えなくなりますが、山の自然に人が手を入れることで豊かになる側面も大いにあるのです。

 

 

松枯れとはどう言う状況かと言うと、写真の真ん中の葉っぱが茶色の木の状態です。
枯れている(死んでいる)わけで、倒木の危険もあるので伐採してしまいます。

 

 

これが松枯れの断面です。
すでに死んでいるので、白太部分には青カビが入っています。もちろん建築の材木としては使えません。この木はバイオマスのチップ行きです。

今回の山は、たまたま木こりさんの山でしたが、このあたりも松枯れはゆっくり進行しているそうです。

木こりさんが、
「生き残った松もいつか枯れてしまい、チップに持って行くことになると思う。できれば、木こりや刻める大工がいるうちに、家に使ってほしい」
と言われた。

おっしゃる通りで、誰もが私たち以上に長く生きてきた木々をスマホを充電する為に焼きたくはない。叶うなら、家の梁として100年・200年と生き続けてほしい。そして山はまた新たな遷移が始まっていく。家作りという人の暮らしが、自然の循環の一部と繋がってほしい。

 

 

この松山は、実は松茸が採れる山だったそうで、松茸の為に桧や杉が植林されずに里山の状態が残ったのかなと思いました。

松茸と一緒に昔は鳥小屋もあったそうで、今では禁止されてますがカスミ網でツグミを捕える山の人の暮らしがあった場所なのです。

松山の中は、ソヨゴやナラや栗など雑木と言われる木々がほとんで、たまに杉桧がありました。こんな松山の姿こそが、この地域の里山の景色の一つということを胸に刻んでおきます。

 

 

この写真の真ん中の葉っぱが落ちている木は栗の木です。昔の家には栗の土台や柱をよく見かけますし、市場にもたまに出てきますが、まっすぐな栗の木なんてそんなにあるものかなと思っていたら、もちろんありました。

今は間伐されて周りに木々はありませんが、間伐前は植林された杉桧に囲まれていたので、光を求めて真っすぐ上に生えていきます。
栗の材が欲しければ、混み合った状態にしておけば良いのかな。

道を挟んで、左が植林の山で右が松山です。
松山には低木から高木まで生えているのがわかるでしょうか。

 

 

真っすぐな栗とは逆に、横たわっている木のように、グニャグニャの木もたくさん生えています。こういう材は、古い民家の真壁の妻梁で見かけたり、茅葺き民家の小屋組みなどで見かける曲がり材です。

あたりを見渡すとそんな松がたくさんあります。こんな材は使い道もないし、チップにするにも運び出すのにかさばるのでこのままとの事。こういう材を生かせるのは、大工以外いないのだろうと思ういます。

大工さんが良ければ、今後もこんな材を使いこなす設計をしていきたい。

 

さて、本題の木の選定です。
今回の探し物は以下です。

地棟    12M 1本
やすめ    6M 4本
母屋下   10M 2本
梁桁妻行  10M 1本
玄関差し鴨居 4M 1本

 

 

 

 

木は横から見ると真っすぐに見えても、下から見ると結構曲がっているものです。
立っている姿(曲がりや枝ぶり)や伐採した時の断面を見ていると、その場を動けない木が歩んだ時間が何となく想像できる。なぜこんな曲がりなのか、なぜこんな年輪なのか、それを木の癖と呼びその癖を適材適所に生かしている大工の技術は美しいのです。

私も今回、どの木のどの曲がりをどこからどこまで使うかなど、建った姿を想像して考えるのは頭がパンク寸前で楽しかった。大工の坂本さんにはたまったもんじゃないかもしれませんが(笑、、、物足りないと思われては申し訳ないのでしっかり選んでおきました。

本来であれば、曲がった木は誰も使わないので山で捨てられるか、チップになります。
真っすぐの材でも、作業しやすい規格サイズの4Mに切られてしまいます。

こうした曲がった材木や6Mを超える材木を用意するには、木こりさんに直接注文して切らずに下ろしてもらいます。

 

 

この真ん中の大きな松は、この松山のなかでもひときわ目立つ松で印象的に残りました。
太さもありますし割と真っすぐで15Mぐらいかな、7~8間ぐらいの地棟に使えそうです。

枯れてしまう前に、いつかこの木を生かしてあげたい。