岐阜の石場建て4 土こね会

岐阜の石場建て4 土こね会

5月

敷地にて土こね会が始まりました。
岐阜の石場建てでは、お施主様と一緒に荒壁土作りからやっています。

土と藁という素の材料が、時間によって建築の材料へと変わっていく姿をこの手で感じて、不思議な感じです。
この感じは、初めて自分で育てたお米を、翌年の種として蒔として蒔いて収穫した時と同じ感覚。
ほんの数十年前は当たり前だった事は、頭で理解出来ても実際に体験すると、自然の力と昔の人の知恵に興奮します。

山で木を伐採して時間をかけて乾燥させる事、土と藁をコネて時間をかけて発酵させること、こんな体験をすると「自然素材」という言葉を使うことが恥ずかしくなります。

岐阜の石場建て4 土こね会

土は、近くの泥コン屋さんにお願いしました。数十年前から時間が止まってるような泥コン屋さん。

泥コン屋さんの土場には、三種類の土。左から、粘土、山砂、古土。
粘土は、多治見・瀬戸の山からです。粘土にはいろんな色があるのですが、このあたりの粘土は赤が強いのが特徴で、鉄分の量に影響するそうです。
山砂は、その辺の山の砂です。このあたりの粘土は粘りがありすぎる為、土を塗りやすくする為の調整に使うそうです。
古土は、藁スサを混ぜて二年以上寝かせたものです。すぐ使えるようストックされています。

今回は、この三種類の土を調合して藁スサを混ぜたものをお願いしました。

岐阜の石場建て4 土こね会

良い荒壁土は、粘りのある土に、藁をたくさん加えて、長期間寝かせたものです。
藁は土をこねて寝かせておくと、腐って発酵し分解されます。繊維系のセルロースと糊系のリグニンに分解され、セルロースは粘土が乾燥したときに粒子同士を繋げる役割をするので、土10に対し藁5以上入れるそうです。
一度に入れるのではなく、時間をかけて何度かに分けて分解させることで、強さと粘りを兼ね備えた構造となるんです。

土壁の素材は、土と藁。この自然に還る二つの素材で100年持つ家を作ってきた昔の技術は、現代ではまず理解することから大変です。
ほんの数十年前までは、普段の暮らしや天災の中で何度も失敗を繰り返しながら、家は進化してきたのですね。

何百年も進化し続けてきた「伝統工法」と、数十年前に出てきた「在来工法」では、用途は同じ家でも「生物」と「製品」ぐらい別物です。

岐阜の石場建て4 土こね会

土こねの作業風景。お施主様は、藁の裁断係。
泥が届いたら、みんなで土こねです。
香ばしい土の香りに包まれて、藁と水を混ぜてクワでこねる・・・。

岐阜の石場建て4 土こね会

土の温もりと粘りを確かめながら、素足でこねたり。
数日寝かせておくと、表面に茶色の膜を張りますが、粘土の鉄分が参加したもの。

石場建ての構造は、剛性と高い変形能力を持った土壁の上に成り立っていることを考えると、建築も自然も同時に成立させてしまう伝統工法は、日本にふさわしい建築だとあらためて感じます。自然に逆らい、50年で産業廃棄物と化す在来工法とは、大きな土俵の違いを感じてしまいますね。

岐阜の石場建て4 土こね会

土こねは、建築工事というよりは、なんだか牧歌的な畑作業の気分です。
こんな素敵な家つくりの時間は、土壁ならではですね。この時間の積み重ねが、家への思いを育み、永く愛される家に繋がるんだと思います。

こちらは3月に植えた山紅葉、早く大きくなれよ。

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