仕上げの左官工事です。
この家の仕上げは、外も室内も、無垢板張りと左官で仕上げます。
こちらは、中塗り土の原料である「土と砂と藁すさ」。
三つの自然の素材を練り混ぜた中塗り土で、仕上げの下地15mmほど塗ります。
最後の仕上げは、下地の中塗りよりさらに細かな砂を練り混ぜた、色土水捏ね仕上げです。
地域ごとにそれぞれ違う色土仕上げは、天然乾燥・手刻み・木組みの家に一番だと思います。
本物の素材には本物の素材が一番似合いますからね。
左官仕上げの下地は、竹小舞下地の荒壁です。
一般的な左官の仕上げは、土壁や真壁ではなく乾式(荒壁がない)の大壁なので、左官仕上げの下地はボードです。
私は「真壁の土壁」こそが、何よりも伝統工法の素晴らしい点だと考えています。
まずは、構造を現しとする事で、構造が空気に触れて呼吸し、維持管理が容易で長持ちする事。
乾式大壁の場合は、構造材はボードに隠れ、断熱材を守る為に防水シートで覆われてしまう事。
これが、高温多湿の日本において、家の寿命を短くしている最大の要因だと思います。
土壁は、仕上げの意匠であり、耐震要素であり、断熱・蓄熱性能を持っている事。
乾式大壁の場合は、仕上げの下地はボード、耐震要素は筋交い、断熱は断熱材。
木と土と藁と竹で作られる荒壁は、自然の素材で作る家に必要不可欠な要素だと思います。
土つくりの様子はこちら >>> 岐阜の石場建て4 土こね会
竹小舞掻きの様子はこちら >>> 岐阜の石場建て9 竹小舞
荒壁塗りの様子はこちら >>> 岐阜の石場建て10 土壁
真壁の仕上げは、荒壁(60mm)と中塗り下地(15mm)の上に、仕上げ(3~5mm)塗ります。
乾式大壁の場合は、ボード(12mm)の上に、仕上げ(3~5mm)塗ります。
自然の素材の荒壁の材料・手間は ¥5,000/㎡ に対し、乾式のボード張りは¥300/㎡のボードを張って手間を含めて¥1,300/㎡。
仕上げはどちらも ¥5,000/㎡ 。ボード下地に左官仕上げは、出来ればやりたくありません。
現場で見てると、人肌のような荒壁中塗り下地に対し、ボードはマネキンに化粧しているようで、綺麗に仕上げて長く持たせる事を考えていない左官仕上げ風に見えてしまうんですよね。
真壁の良さはたくさんあるのですが、逆に都合の悪い所もたくさんあります。
内部の左官仕上げと、外部の左官仕上げ。
日本の風景を作ってきた一番の建築の要素は、この真壁の意匠です。