瑞浪の屋敷復元6 現況(Before)

もう3か月前のことになりますが、現地調査のお手伝いに来ていただいた皆さまありがとうございました。いつも1人でやるか大工さんに手伝っていただきながらやっていた調査ですが、今回は民家が好きな設計の方々と一緒に調査をして、おしゃべりしながら楽しい時間になりました。
また今後も情報交換しながら調査をやりたいなと思っています。ご興味があればご連絡お待ちしています。

 

 

はじめに

今後この現場では、9月頃には竹小舞・土塗ワークショップ、11月頃には三和土ワークショップを開催予定です。
多くのかたに興味を持ってご参加いただけるよう、今回は建物の現況の様子を詳しく報告していきます!

 

 

さて2月の現場ですが、見積図面作成の為、仮解体をしました。
私の仕事は、伏図・軸組図を作成し、耐震要素や劣化部や傾き沈みを調べて、傷んだところを直しながら上手にお値打ちに改修するプランの作成です。

 

1.足元

 

 

足元は、この地域ではよく見られる「外周部敷土台・内部柱礎石立ち」です。
このお屋敷は足元も大きな部材でしっかり引いています。

 

 

普通の民家は、FL から上は立派に見えても FL より下は足固めと呼べるような仕事をしていない事が多い。それでも多くの民家は残っているので、新築の時も足固めでしっかり引かなくても、あまり効いてないホゾが差さってて抜けなければ良いのかなとも思っています。

しかし、しっかり仕事がしてある民家は、損傷も少なく改修も楽なので、長い目で見れば手間はかけた方が良い。

 

 

縁の柱は根継ぎされていました。
昔の仕事、もし来る気かがあれば探してみて下さい。

 

 

白太(しらた)の部分はしっかりシロアリに食われています。

 

 

この地域は、足元に松を使っている家が多く、赤身以外残っていないよくあります。

こんな民家ばかりみていると、できることなら大事な所は赤身で揃えたい。

 

2.台所・水回り

 

 

合板の天井を剥がすと、昔の竿縁天井と黒い地松の丸太が現れます。
昭和に改修された台所やお風呂回りは、いつも劣化がひどいので解体です。 

 

 

昭和の新しい台所は解体しますが、もっと古い時代のかまどや流しは残します。

 

 

タイルの流しに木製の収納、その中は激ヤバそうなビン・・・。
石の壁と木の窓とかわいい硝子。

 

 

お風呂は名残惜しいですが作り直します。

 

3.雨漏り

 

 

こちらは増築部分の雨漏りしていた箇所の柱。
雨漏りして傷んでいた所を、さらに板で覆ったので思いっきり食われたようです。
柱だけでなく、松の差鴨居まで入っています。

 

 

雨漏りや大壁(空気や光が入らない)は、劣化しやすく見えないので、致命傷に繋がります。

こういう現場を見ていると、やはり屋根は雨漏りのリスクの少ないシンプルな形状で、極力真壁が一番良い。

 

4.小屋裏部屋

 

 

小屋裏の隠し部屋。

建具は障子一本勝負。
このままの姿を残したい気持ちはありますが、、、ガラスの木の窓に交換します。
どんな部屋になるか、お楽しみに。

 

 

本物は時間によって磨かれる、偽物は時間によって暴かれる。

この家では、何が本物なのかを勉強させていただきながら、今後の家づくりに役立てていきます。

 

5.土中環境

 

ではこの家で学んだ本物は何かというと、建築ではなく土木でした。

 

 

家の下の地面には、木の根がきれいに礎石を繋ぎながら入り込んできています。
少し水が溜まった後があり、掘られている部分もあるので、健全とはいえませんが、しっかり来ています。

 

 

根の直径は5cmほど。
家の周囲には木がたくさんあるので特定はできませんでしたが、枝ぶり以上に石場建ての下には木の根が張っていることがわかります。 

こんな床下を何回もみているが、石場建ては周囲に木があってはじめて成立し、周囲に木がある状況をつくらなければいけない。

 

 

この家は、この木々たちが100年以上も守ってきた。

 

 

北の庭には家を覆いかぶすように巨木が立っている。
この木の根は、人に踏み荒らされない縁の下に入り込み、土中の空気と水を循環させてきた。

今は雨どいがついているが、今回の工事では雨どいを撤去して家の周囲に雨落ちを作る。今以上に空気と水を土に戻し、家も木々も長く生き続ける環境を目指していきます。

 

 

これが木の根に抱かれた石場建ての家。
床工事のまえに、点穴をあけて空気の通り道をつくっておきましょう。

 

 

こちらは大黒柱の礎石です。
多分、この石の下には木杭が入っています。炭化して残っているか、または木杭の姿はなくなっているが、新たに木の根が入り込んでいるか。それに石片や炭も必ず出てきます。

この礎石の下の昔の仕事をどうしても見たいけれど、家を壊すわけにはいかないし、掘るわけにもいきません。どこかで民家の解体現場があれば、見学させていただくことにしましょう。

 

おわり

 

というわけで、3月には見積図面を提出し、4月には見積を提出し、5月には工事契約、そして今週から工事着工となり本解体が始まります。

また途中経過は報告していきますので、読んでいただきワークショップでお会いできたら嬉しいです。

 

 

最後に、これがあの「むしろ天井断熱」です。