山で伐採した松が材木市場まで下りてきたので、皮むきに行ってきました。
丸太の末口(直径)が45cmほどで、長さが12M超。
1本の丸太で約3.0㎥(立米)、重さにして約2.0トン。
見上げた時も大きかったですが、真横で見るともっと大きい。

皮むきは、乾燥中に虫に食われないように、または早く乾燥させるために行います。
よく、落ちている枝の皮をめくると虫が出てきたり木くずや粉が出てくると思いますが、虫たちは暖かい皮の内側で木を食べながら生活しているのです。
今回なぜ手で皮むきをしているかというと、一般的な角材で使う場合は、製材すれば皮も落とせるので皮むきの必要がありません。また規格のサイズなら皮むき機でむいてしまいます。
今回は、角材ではなく曲がりもある長い丸太のまま使うので、手作業で皮むきをしています。

こちらの皮むきをしていただいているのは、いつもお世話になっている製材屋東桧さんの2人の若者です。そしてこの場所は、東桧さんが利用されている白川町の材木市場です。
市場の一角をお借りして、そこで山から受け渡しをして、皮むきも乾燥もさせていただきます。その後大工さんの段取りに合わせて、大工の刻み場または現場までここから直接運び込みます。
そもそも、こんな重くて長い材料を振り回すスペースや機械が無いと動かす事すらできませんが、市場は全てが揃っているのでとても助かります。
実際、長い地棟のある家を設計して材木が用意できたとしても、作業場や現場に搬入できなければ使えません。昔は河を利用して運搬したり、現地の木を刻んで建てていたのですが、現代はなかなかそうはいきません。どの現場でもできるわけではない貴重な機会なのです。

「地松の地棟」について。
地松とは松の材種、地棟とは三角屋根のすぐ下にある大きな丸太の事です。
青色の構造材です。

地棟の丸太は、昔の民家で見かけたことがあると思います。
昔の人たちは、人の力だけで数トンもあるどでかい丸太を棟まであげて民家を構成してきたのですね。地棟の話は、また今度。

現代の私たちは、丸太を180度回転するにもやっとです。
とてもじゃないけどユニックでは持ち上がらないので、リフトで運搬です。

初めての仕事をしている時は、ワクワクして気分も上がります。
建主さんや大工の坂本さんが驚き喜ぶ姿が、目に浮かびます。
無事に現場に運び込んで上まであがって納まるのか、ドキドキもします。
ということで久しぶりにテンションが上がって写真も撮ってもらっちゃいました。

皮をむき終わったら、トタンで雨養生して、天然乾燥に入ります。
東桧さん、東濃ヒノキ白川市場協同組合、ありがとうございます。

さて、この原木市場のご紹介。お邪魔した日はちょうど翌週に市場を控えているとのことで、原木が並び始めています。ここは「東濃ヒノキ白川市場協同組合」という名称で、八百津から山を下りた隣の白川町にあります。
年間の原木の取扱高は、42,000㎥/年(3,500㎥/月)、月に2回の市。
入ってくるのは、八百津と白川の山からで8割以上。桧7割・杉3割。
出ていくのは、市売2割・システム8割。※システムは市を介さず直接販売。
市場に並んで私たちが買える原木の量は、8,400㎥/年(700㎥/月)。
ここからは、適当に考えてみました。
ざっくり家に換算すると、84棟/年(7棟/月)。
家換算は、私が取り組んでいる「木組み土壁の石場建て36坪の家」で、ざっくり1棟で原木100㎥としてみてみる。
※ 原木100㎥×歩留まり0.40 = 製材40㎥【軸組15㎥+屋根10㎥+板10㎥+他5㎥】
※ 家の仕様にもよりますが、製材で約1.0㎥/坪・原木で約2.5㎥/坪。
※ 原木8,000㎥(100㎥×80棟) 製材3,200㎥(40㎥×80棟)
もし、ここの市売の木材をすべて木組みの家で生かそうと思うと、年間80棟。
実際に作るには人手が必要、適当ですが小さな会社がたくさん集まってざっとこんな感じで考えてみました。
製材 0.20人/棟 16人 4社
大工 1.60人/棟 128人 32社
土木 0.40人/棟 32人 8社
左官 0.25人/棟 20人 4社
建具 0.20人/棟 16人 4社
瓦 0.10人/棟 8人 2社
茅 0.50人/棟 1人 1社
設計 0.25人/棟 20人 4社
林業関係 不明
設備建材 不明
単純に80棟/年で約240人。
(元請けは大工またはできる人・監督は大工と設計・営業は設計中心にみんな)
ちょっと多いので、切旬の良い材という事で、40棟/年で約120人。
こうみると、足りないのは仕事と職人、足りているのは気持ちと木。
できれば少しでも高く木を買って、山に還して山を次の世代に引き継ぎたい。
山と繋がり地域とも繋がり次世代にも繋がる家つくりは、誰もが共感してくれるはず。
整理してみると、設計の立場でやれることがみえてきたような。
コツコツというよりは、小さなゲームチェンジが必要なような。
それさえ起こせれば、ひっくりかえる気がするような・・・。
まだまだ、勉強不足なもので、適当に流してください。

さて、市場にならんでいる材木です。
直径30cm 長さ4Mの丸太が、3本で約1㎥。
直径50cm 長さ4Mの丸太が、1本で約1㎥。
1回の市で約350㎥の原木が並ぶとすると、直径30cmなら約1,000本。

こちらは地松販売コーナー。
前回のBlog「関ケ原の石場建て1 松山」でお話したように、市場では規格の4Mの真っすぐな材が並んでいます。
規格が4Mの真っすぐな材の理由は、まずは山から出しやすく一度にたくさん運びやすい事。家の構造材としてもボルト金物で引くプレカットや雇差しの木組みなら、3.6Mの梁桁がとれて使いやすいからだと思います。
ただ、規格を外れると市場では手に入らない。
10Mが欲しければ山に10Mで切って下していただくようお願いする。
曲がった材料が欲しければ、曲がりを生かした造材をしていただくようお願いする。

なかには曲がったり長い材も並んでいました。
同じ曲がり同じ長さの材を複数本揃えたいときなども、山でそろえていただくようお願いする事もできます。

長くなってしまいましたが、今回はここまでという事で、
つまり図面を描く人や大工が山と繋がることで、山の木を今以上に生かすことができるという話です。

