5月15日(木) 糸島の石場建て「環境再生ワークショップ」

インターン日記 Yさん(2025年4月)

退職を機に2週間来ていただいたYさんにインターン日記を書いていただきました。


 

この度、4月11日から2週間インターンでお世話になりました、愛媛県出身のYです!
私は、高校卒業後すぐゼネコンに就職し、3年間現場監督をしていました。

山奥で生まれた瞬間から、親と共に自給自足の暮らしをしていたので、そのバックボーンと照らし合わせた時に、ゼネコンでの働き方や建築の在り方にどうしても違和感を感じてしまいました。

結局建築って、自然にとってマイナスにしかならないんじゃないか。
そう思っている時に、水野さんのHPの”土中環境“という記事を見つけました。

土中環境を改善できる石場建て。
建てれば建てるほど、多種多様な植物や生物が帰ってくる、そんな建築と自然の境目。素敵だなあ。
自然にとってプラスになる建築もあるんだ。建築、やっててもいいんだ。(涙)

完全に感化されてしまい、よし、岐阜まで会いに行こうとインターンに申し込ませていただきました。

 

 

設計事務所に到着したらまず、ゲストルームに案内されます。過去のインターン生の方々と水野さんで修繕された14畳ほどの囲炉裏付きのお部屋です。私がいる間にも、障子を貼ったり本棚が増えたりと、設備が少しずつ整い、どんどん快適になってきました。

印象深かったのは、畑の中にあるお風呂。

 

 

屋根が開閉可能となっており、夜中に電気を消して真っ暗にすると、湯船に入ったまま、ポツポツと瞬く星を眺められます。しんとした八百津の夜が忘れられません。

美しいケヤキの木漏れ日が差し込む、木組の鶏小屋には、まだ小さなヒヨコたちがいて、私は朝晩の餌やりを担当していました。だんだん慣れてくると、餌をくれる人と認知したようで向こうから寄ってくるようになりました。なぜ今鶏小屋なのか、それには深〜い理由があるので、ぜひ水野さんに聞いて見てください。

 

 

火を起こさないとお風呂にありつけない、ご飯は土鍋で炊く、買い出しはミッションの軽トラ…。
2週間、生きる力が試されるような生活スタイルでしたが、そのお金では解決しない不便さがたまらなく楽しかった。
大切な時間を思い出させてくれました。

 

 

水野さんの仕事は設計だけでなく、ご自分の手をどんどん動かします。
ある日は雨落ち(軒に樋はない)の石工。水野さん、石組みがめちゃくちゃに早い。石組みを教えてくれる時だけは、目が変わります。
一つ一つの石と向き合い、どう使うか考え、少しずつハマってピタと動かなくなっていく感覚はたまりません。

 

 

またある日は、お施主さんの家に突撃訪問し、薪小屋の上に草屋根を作りました。
正攻法があるのかと思えば、水野さんの完全自己流。原っぱから土ごと根のついた草を軽トラで運んできて、屋根の上につけた木枠の中に置いていきます。仕上げに、庭にたくさん発芽していたドングリの新芽たちも。

 

 

「これが正解かと言われると分かりません!」

なんでもやって見て考える。
水野さんのところに自然と人が集まるのは、その自由さと、何より水野さん本人が楽しそうに作業されてるから気になってしまうんだと思います。

 

 

水野さんの言葉で印象に残っていること。

「これからは、”建築” や”土木”などと切り離さず、”暮らしの中にある建築”として考えていきたい。」

ここからは私の想像ですが、
例えば、茅葺屋根だったら、
食べるために田んぼでお米を育てる。
お米の稲藁を干し、それで屋根を葺く。
いずれ土の肥やしとなる素材を屋根に使い、それを待つ間だけ屋根の下で人が暮らしを営む。茅葺屋根には苔や小さな生き物たちが集まってくる。

その暮らし全てが、循環する自然の大きな流れを止めないことに繋がっていく。
そういうことなのかなと、ぼんやり考えていました。

本気で楽しく、学びが多すぎる2週間でした。何より、水野さんという人間の面白さに気づいてしまったことが、1番の収穫です。
インターンに参加するともれなく、囲炉裏を囲んでの焼き鳥とお酒と談話が、ついてくることでしょう。

 


 

Yさんには、連日現場や自宅で外仕事と大変な2週間だったと思いますが、おつかれさまでした。Yさんは将来設計の仕事をするという目標をもって来ていただきましたが、早く自分が良いと言える家つくりと出会って実践していってほしいですね。

なんと今回は念願の3名同時にインターンに来ていただきました!
インターン同士で一緒に食事を作ったりお話したりと、いつもの1人のインターンより間違いなく楽しんでいただけたと思います。私もいろいろ学ばさせていただきました。まだ2人以上で泊まるには環境が整っていないので、早くゲストハウスに取りかからねばです。

ただおかげさまで、鶏小屋も完成し、薪風呂にようやく水道が開通し、ゲストルームもほぼ出来上がりました。今後の予定は今年の秋に稲架小屋を作り、ヒヨコが鶏になって卵を産み始め、冬からいよいよゲストハウスに取りかかります。そして2年後の2027年春完成を目指して、ゆっくり学びながら進めて行きたいと思っています。

まず、その前に設計ですね。私が、施主 兼 設計 兼 施工 ということで、初めて自分の意思だけで家作りをします。このゲストハウスが完成すれば、自分が何をしたかったのかよくわかるはず (笑