6 コンクリートレスで家を作りたい【石場建て】

 

やるべき事が決まった後は、ホームページを作り直して、見学会やワークショップに力を入れた。

「木組み・土壁・石場建て」の家作りの良さを伝えるのに、私は文や話では伝えきれなかったので、実際に見て触って頂く事で、伝統的な家作りを伝えようと思った。
一人では難しかったが、お世話になりっぱなしの建て主さん達に声をかけて「土壁会」を結成して、竹小舞・土壁・三和土・茅葺・小屋作りなど、さまざまなワークショップを開催した。

 

 

石場建ての家を、いろんな大工さんと一緒に作らせて頂き、気候風土適応住宅にも力を入れ、100年後の古民家を作っているつもりで、とても充実していた。

 

 

ただ、私の家の前に立つと、私の設計した家も100年後に本物の民家になるだろうか? 
何か大事なものが、足りないんじゃないか?
そもそも、土俵が違うんじゃないか?と思う事もあった。

 

 

どれだけがんばっても、私の家作りは自然を壊してるじゃないか?
でも、私の家や本物の民家は、周辺の自然と共存しているように見える時がある。

 

 

 

いつかコンクリートを使わずに、家を作りたいなという憧れがはあった。

 

コンクリートレスの家作り。
コンクリートの基礎無しで申請を下す自信は、ありました。
でも、古民家のような玉石基礎で、建て主さんの家を守る自信が、ありませんでした。

玉石基礎で建てて欲しいという問い合わせもありましたが、断っていた。
そこまでやったら、色々言われて、なんか失敗したら、色々迷惑をかけそうで。

それに、部分的に沈下して、再生を断念してきた古民家を何件も見てきましたし。
でも、私の家のように、沈下もせずシャンと生きている古民家がいる事も知っていた。

  

 

「土中環境」との出会い

 

2020年は様々な活動がストップした事もあって、本を読む時間が出来た。
伝統的な農業や林業や暮らしなど、溜まっていた建築以外の本の中に「土中環境」があった。

 

 

土中環境を読み始めて直ぐに「これだ!」と思った。
当初私は、家作りではなく、身の回りの自然環境に対して反応していた。

私は大学時代は環境化学について学び、当時から環境保護についてアンテナを張っていたつもりでいましたが、本質的に自然環境を改善する事は、人間には出来ないと思っていました。

しかし、無理だと思っていた方法が、なんと「土中環境」には書かれていた。
これで、初めて自然環境に対してポジティブに向き合えると思うと、本当に嬉しかった。


本来は、人が暮らすことで、土地を育ててきた。
次世代の為に土地を育てる事は喜びであり、次世代の為に役に立つことは喜びである。
でも今は、土を育てる方法を忘れてしまい、人間の行為が自然界にマイナスとなっていると感じている方がたくさんいらっしゃる。
でも、まだ大丈夫。


どこかでメモした高田さんの言葉。
高田さんの話に、初めて希望を感じた2020年の秋でした。

  

 

コンクリートレスの石場建て

 

何はさておき、まず髙田さんに会ってお話を聞こうと思い、地球守さんの講座に申し込んだ。
当時からすぐにキャンセル待ちとなる講座だったので、とりあえず内容は何でも良いから申し込んで、やっと滑り込めた講座が、なんと「石場建て 講座&WS」だった。

 

 

コンクリートの無かった数十年前は、土地を傷めない基礎作っていた事。
呼吸する地面には、菌糸を呼び込む有機物と菌糸の住処となる炭を入れて、土地を育てる。
雨が降る度、安定していく造作をすることで、家も土地も長く生きる知恵があった。

講座では、そのようなことを、高田さんから教えて頂いた。

 

 

偶然にもその講座で、今西友起さんにも初めてお会いした。
今西さんは、三重で石場建ての石を据える仕事をしている方だと、その時知った。

今西さんからは、石の下の水と空気が動く環境をつくる為に、石場建てで建てている事。
礎石の下は割栗敷とすることで、安定した土地の作り方を教えて頂いた。

 

2016年から4年、予期せぬ展開でコンクリートレスの石場建てのチャンスが降ってきた。

 

 

 

初めての本当の石場建て

 

2021年春、「豊田の石場建ての石据えは、今西さんにやって頂ける事になった。

今までは、石場建ての新築には、べた基礎・布基礎だったり、座布団だったり、何かしらコンクリートを使っていたのですが、今西さんにやって頂くこの現場では、鉄筋もコンクリートも使わず、初めて確認申請と適合判定を下しました。

 

石を据える今西さん。

  

据え終わった礎石、建前初日の朝。

 

石場建ての縁の下には、人や物が踏み入れること無く、泥水も流れ込むことも無く、地上と土中を結ぶ空気と水の通り道となる。
周りがコンクリーとに埋め尽くされても、その場所はずっと循環の起点となる。

 

今西さんが、教えてくれた言葉。

「石場建ての家は、環境改善装置」