2020年春、環境が大きく変わった2年前から、家の庭や畑について今までとは違う視点で考えるようになった。
家と同じように、作って終わりの庭や田畑ではなく、手をかけて良くなっていく庭や田畑を、毎日コツコツ楽しく作り続けたいと思うようになり、行きついた先は土木の伝統工法でした。
それまでは、コンクリートや既製品を使わない事しかできなかったが、今は本質的に大切な事がわかってきた気がします。建築で例えると、自然素材で家を作る事から、石場建てで家を作る事に変わった事に似ている。
大切な事は、美しくて、心が喜ぶものであって、そして周辺の自然環境を改善する事。
話は変わりまして、今年の2月に美濃加茂市が主催の「みのかも里山ウィーク」で開催された地球守の髙田さんのフィールドワークに参加してきました。
https://www.instagram.com/satoyamaschule/
建築から土木に興味を持つきっかけとなったのは、2年前に出会った髙田さんの本「土中環境」です。以降、何度か地球守のイベントに参加させて頂いていたのですが、今回隣町の美濃加茂市に髙田さんが来られるという事で、こんな地方にも同じ価値観の方々がいるという事がとても嬉しかった。
今回の開催された経緯は、市民の方の発信で、市役所の職員や市長が動き、行政が動いたようです。美濃加茂市には、里山再生プロジェクト「里山千年構想」という方向性があり、現市長も土中環境の健全化を政策の一つにされており、私からはとても魅力的な街に感じますね。
似たような思いの人たちが集まる素敵な街になってほしいですね。
というわけで、高田さんのお話を聞いて、気持ちを新たに取り組んでいる私の家の様子です。
まず最初に、こちらの竹ポット。去年の春に地球守のワークショップで植えたコナラの苗(二年生)です。
千葉のドングリが竹ポットで1年過ごして、私の家に移植します。
この竹ポットの中は、常緑樹・落葉樹の葉と、枝葉が腐葉土になったものと、炭とくん炭です。
これらを高さ30cmほどの竹ポットに、敷葉状に何層かに積み重ねて、苗を植えて、落ち葉でマルチしました。
他にも水や空気の浸透を助ける為に、枝を数本差しました。
1年たって、1割ほど層が縮んだようですが、今年も元気に芽吹き始めました。
竹ポットを少し割ってこのまま植えてもよさそうですが、土の中の環境を確認するため、竹を割ってみます。
土の中はこんな状態です。
綺麗に菌糸とコナラや草の根が張り巡っていました。
予想以上にフカフカで、少しの振動で崩れてしまいそう。
竹の中は、めちゃくちゃ隙間だらけでした。
落ち葉は分解されていますが、炭は残っています。
この竹ポットは、水やりもせず、ずっと外の木の下に置いていましたが、土はしっとり濡れています。虫も暮らしています。
通常のやり方だと、水をやらなきゃ乾燥するし、ほっとくと鉢の中を隙間なく根がびっしり張って、木が自分の根で窒息しそうになってますね。つまり、木が自分のいる環境を無視して、どんどん大きくなろうとして、自分で自分を苦しめてしまう。
一方、良い菌糸がのっている土中の環境にすることによって、菌糸は空気中の水を集めてくれる。また、菌糸が木に自分のいる竹ポットの小さな環境を伝える事で、木はその竹ポットの中で生き続けることができる環境を自分で作り出すことができる。
こういったことを実際に見ると、私たちが普段見ている道沿いの木や庭の木や山の木が、いかに苦しんでいるか。そしてその原因は、私たちが土中の環境をいかに破壊しているかが、良く見えるようになる。
土中の環境が壊される前の昔の野山は、どれだけ美しかったんでしょうね。
10年前に街から田舎に戻ってくるときは、緑の多い里で暮らしたいと思ってました。
でも最近は、緑がどんどん壊されていく里を見ているより、コンクリートの中に小さな緑が少しづつ増えていく街で暮らしたいと思うことが増えてきた。
はい、こんなかんじで植えました。
この堤は、敷地内で掘った土の残土やコンクリート片で作ったものです。
木を絡めながら、土と有機物と炭を何層にも重ねました。
10年後には、移植したコナラの根に守られた、堤になってくれます。
畑の真ん中にも、ドングリを植えました。
去年拾って、ポットに植えていたドングリですが、無事に根が出始めたので。
根が葉っぱを貫通してます。
畑の真ん中の小さな堤に、小さいポット30個ぐらいを密植して植えました。
さて、どうなるのことでしょう。
田舎はとにかく土地が余っているので、以前からやりたかった果樹もたくさん植えました。
この一ヶ月で20本ぐらい植えました。5年後にはうちの庭や畑は、林になるかもですね。
果樹が実をつけるのは、まだ先ですが、子供たちは楽しそう。
田んぼに撒いた麦。
元気に育っています。
畑の大麦。
にんにく。
いちご。
たまねぎ。
田畑は、オリジナル農法なので、なにが良いのやらよくわかりませんが、畑の畝には溝を切りました。
溝が崩れないよう、敷藁工法です。
しっとり濡れた溝の断面を草が覆う。
つくし、いただきました。
地面からはあちらこちらで、発芽が始まる。
雨が降って、草も顔を出し始めた。
見覚えのない木もちらほら。
石をどけると、びっしり張った菌糸と大勢の虫たち。
雨落ちもどんどん育ってきました。樋は、もうほとんど無くなりました。
この2年間、野良について頭の中も整理できて、季節の移り変わりが待ち遠しい40代になりそうです!