はじめに
先週は、2回もお話する機会をいただきました。
建築関係の方と、高校生の皆さんの2回。
建築関係は、東海地域で伝統工法に取り組まれている「NPO法人 伝統木構造の会」主催の勉強会で、私が取り組んでいる気候風土適応住宅についてお話させていただきました。
高校生の皆さんは、岐阜県建築士会からお誘いいただき日本建築士会連合会が主催する建築甲子園に出場する岐阜県の高校性に向けて、今回のテーマである「日本の伝統的な建築」の事例のお話をさせていただきました。
慣れないパワポでそれぞれ資料を準備したのですが、おもしろいことに話している内容は同じようなことになっていました。
建築関係

建築関係の方で伝統的な木の家づくりを実践している皆さんにとって、2030年以降も続けていく為には「気候風土適応住宅」は必要だという実感が高まってきたと思います。そもそも断熱性能や省エネなど運用時のエネルギー低減の評価だけではなく、LCA評価など素材の生産から建築→解体や処分までのエネルギーの事。さらには敷地の土中環境や周辺の山を育み環境再生にも繋がる日本の伝統的な家づくりの事、そして技術的・文化的価値。
それらを定量的に評価する事は難しいけれど、運用時のエネルギーを減らす事と比べると、何十倍・何百倍も自然環境に対してポジティブな影響があると感じます。それらを「気候風土適応住宅」に反映して評価してほしいという現場の声が少しづつ大きくなってきました。
今回お話させていただき改めて頭の整理ができた時に、ふと昔のことを思い出しました。
7年前「気候風土適応住宅」の枠組みについて話し合いがなされていた頃、ある方がこう言っていた。
「水野さん、気候風土適応住宅を外皮だけで判断して伝統工法の家だけの枠組みにするのではなく、もっと広く国産の木の家づくりを大切にしている人までも気候風土適応住宅の枠組みに入れるようにしなきゃいけないのよ」と。
当時はまずは伝統工法が守れれば良いと思い、おっしゃっている事はできたらいいなぐらいしか思っていませんでした。しかし今は裾野を広げることがどれだけ大切な事かようやくが理解できました。遠い先まで見ていたのですね。
今の私はまだ何処から何から始めればよいか見当もつきませんが、よくわからない目の前にある事からやって進んでいく。
目指す場所は、私たちが家を作れば作るほど、暮らせば暮らすほど、里山が再生していく未来。
高校生
次に高校生についてです。
今回日本の伝統的建築がテーマなので、水野さんのやられている事を話していただき、高校生の皆さんがイメージできて座談会のきっかけになるような話をしてくださいとの事でした。
そして渡された下記の募集要項を見た時に、驚きと嬉しさと楽しさを感じました(笑

地域のくらし-地域に根ざし自然と共生する15人が住むための建築
出題者 審査委員長 横内 敏人【横内敏人建築設計事務所代表】
今回のテーマは以下の3つのことについて考えてもらいたいと思います。
1つ目は日本の建築の伝統とこれからの建築のあり方についてです。日本の伝統的建築、特に住宅は地元の山で育った木と、田んぼの土と、竹と草と紙など、すべて身近にある自然素材でつくられていて、生産エネルギーが低く、持続可能で合理的なものでした。また深い庇や縁側、土庇といった中間領域が豊かで、さらに襖、障子、雨戸など開口部も重層的に構成されていて、建築的な工夫により自然を生かし、日本の気候風土の中で夏冷しく、冬は暖かくすごせるようにできていました。このように日本の伝統的建築は、地域に根ざし、自然と共生する思想に満ちたものでした。家の外には必ず庭があり、家と庭が一体的につくられているのも、その思想の現れだと思います。このような日本の伝統的建築に内存する思想は、これからの建築のあり方にも大切な方向性を示していると思いますので、それを現代にどう生かすかについてまず考えていただきたいと思います。
2つ目は集まって住むことの意味について考えてもらいたいということです。
現代社会ではスマートフォンやSNSなどの発達により、個人が対人コミュニケーションを伴わなくても世界中とつながることができるようになり、個人が自分の興味がある情報や個人に直接アクセスできるようになりました。その意味で、社会は急速に個人主義的になりつつあるように思えます。しかし社会が個人主義的になればなるほど、逆に人とのつながりが求められ、必要とされることもあるのではないかと思います。個人が孤立して生きる社会は効率も悪く魅力的ではありません。多様な価値観と生き方を尊重しつつ、お互いに足りない部分を補い、助け合いながら暮らす豊かさについて考えてみてください。
その形はさまざまです。多世代の家族が集まって住む大きな一軒家でも構いません。地域産業を支えるための職住一体で従業員も一緒に住むことができる施設も可能です。高齢者たちと子育ての中の若い夫婦たちが共にくらす集合住宅も時代の要求に合っているかも知れません。あるいは価値観や生き方が共通した者同士が集まって住むという形もあるかも知れません。とにかく、一般的なアパートやマンションのように、歳も知らない他人がただ集まって住むという形ではなく、集まって住むことでより豊かな生活がもたらされる形を考えてください。
最後に、建築について考えてください。建築とは時代が変わり、当初の機能が失われたとしても、変わることなく人々に感動を与える空間的魅力をそなえた建物のことです。残念ながら今の日本の住宅の耐用年数は平均で40年程度だと言われています。今回は時代の変化と共に消費されてしまう建物ではなく、時代を越えて愛され続ける魅力的な建築を考えていただきたいと思います。
以上、若者らしい、将来の日本にふさわしい提案を期待していますので頑張ってください。
まさに私がいつも考えているようなことがテーマになっており、高校生よりも私が一番ワクワクしていたかもしれない。
日本の伝統的建築は一言でいうと普請。現代の建築は請負。
みんなで協力して作る普請だからこそ、自然の素材の生産から手仕事の家づくりが可能。そして家つくりも暮らしの一部、つまり暮らしの中に家づくりがある。
私たちが身の回りの素材で家を作り農的な暮らしをする事で、地域の里山が守られ回り回って私たちの安全な暮らしに繋がる。私たちの手で家を育てて愛するように、地域も育てて愛する事ができれば、地域に根ざすことができ自然と共生することに繋がると考えています。
大人も参加できる建築甲子園はないのだろうか・・・?
こんな内容のコンペで審査委員長が横内さんなら、いろいろ発信・提案したい事がありすぎて私はヤバイいことになりそうです。
さいごに
さて、今回2回もお話させていただいて、世の中の変化を肌で感じた。
私はどちらかというと、人と違う方に興味を持って考える事が多く、世の中とズレてる時が多々あると思っていましたが、そんなにズレていないことにも気づきました。
田畑と設計ばかりやって偏るのもいいけれど、たまには外に出て違う価値観の人とも話さないといけませんね。
今後もお話する場をいただければどんどん受けてみようと思いますし、コンペも見つけたら挑戦して、私の考えている事を発信し続けていくことにしましょう。
