今年は、夏休みに来ていただいたSさんに、インターン日誌を書いていただきました。
2024年9月に10日間インターンでお世話になりました、熊本高等専門学校八代キャンパス、建築社会デザイン工学科のSです。
私は4年生になり、どこの会社に行くのか、何を学んでいきたいのかを悩んでいる中、水野設計室のインターン募集を見つけました。水野さんにインターンの受け入れをお願いした理由は、木組みの家、石場建ての家に興味があったからです。また、水野設計室のインターン募集のページを見て、たくさん体を動かすインターンで楽しそうと思ったからです。
インターンに行く前、水野さんに”土中環境”という本を勧めてもらい、土中と建物、人工物との関係や、土や植物の力などを知りました。
インターンでは、荒壁塗り、石据え、土壁はがし、大工さんの仕事を見る、などをしました。作業内容は、初めての経験ばかりで、新しい気づきがたくさんありました
仕事内容ごとの感想を書いていきます。
インターン仕事内容
土壁塗り
インターン初日に名古屋の現場で、土壁塗りをしました。竹木舞という竹を編んだ壁に土を押し付けるような感じで塗っていきました。大きな部材から成る木組みの柱や梁を見て、とても圧倒されました。
土壁解体
土壁を層ごとに、へらを使ってはがしていきました。もう一度土壁に使える層と使えない層に分別しながら、ザクザクと削っていきました。
最初壁だった面が、竹木舞だけになった時はとても達成感がありました。
土壁をはがし終えると、土は水で練り養生しておき、竹木舞は縄と竹に分けておきました。
土も竹も再利用して 、新たな壁を作るそうです。
石据え
上に乗る大きな石がしっかり安定するように、小さい石、中くらいの石を手で一つ一つ据えていきました。
石がピタッと動かなくなる瞬間がとても嬉しくて、でもその瞬間にたどり着くには何回もここかな?ここかな?と石が据わる位置を探っていく必要があり、コツをつかむのがとて難しかったです。
大工さんの仕事を見る
柱の下を新しい木材にするための根継ぎを見ました。現場で寸法や建物の構造を見ながら、どういう風に仕事を進めていくかを決めたり、木材を複雑な形に刻んだりしている姿はとても職人でした。
田んぼの草取り
田んぼに生えた草を、足を取られながら取るのは、とても体幹が必要で体力も必要だと、とても感じました。
インターン期間中
インターン期間中はちょうど水野設計室のワークショップの期間中だったので、水野さんのとこには、森林文化アカデミーの学生さんや、建築家の方や一般の方などいろんな方が来て、一緒に作業しました。
進路のことなどの相談をしたり、いろんな経験を聞いたりして、これから進路や、やりたいことを考える時の助けになっていきそうです。ありがとうございました。
インターンを終えて
水野設計室は、自然と人間の住まいが共に生きていき、お互いにとって良い関係となっていけるような家づくり目指しておられました。
これまでは私は、デザインや、住みやすさなどで家づくりをしていくという考え方しかもっていなかったけれど、自然と一緒に育っていくような家づくりの方法もあると知りました。
インターンを通して、自分も、自然と人に関わってくことを将来やっていけたらと思いました。
筋肉痛になったり、夜ランプをもって外に出たり、薪で風呂を沸かしたり、不便なことがとっても楽しかったし、今では恋しいです。
最後に
お忙しい中、インターンを受け入れてくださりありがとうございました。夜ご飯を一緒に食べたり、そのあとにボードゲームをしたり、本当に楽しいインターンでした。最後に薪ボイラーのお風呂に入れてよかったです。
水野設計室に行くことができて、これから自分ができるようになりたいこと、やりたいことができたので、1つずつやっていこうと思います。
10日間本当にありがとうございました。
Sさんには、土壁塗りから土壁解体をとおして土壁の最初と最後を経験し、素材の再利用の良さ悪さを感じていただけたとおもいます。作業も建築工事だけではなく土木工事までしていただき、大変助かりました。
また、今回水野設計室のワークショップと同じ期間だったので、職人さんや学生さん、作り手さんや住まい手さんなどいろんな方の出入りがありました。皆さんなんとなく同じような価値観を持った方々で、お昼ご飯や休憩中などのお話も大変盛り上がり、私も楽しい時間でした。
昨年から始めたインターンですが、数名の方がゲストルームを利用して泊まり込みで来てくださいました。インターンに来ていただいた方の要望にお応えして、今年の秋以降はゲストルームの居住環境改善に取り組んでいます。
ゲストルームの囲炉裏製作、薪風呂の改修、鶏小屋と堆肥小屋、野菜作り、そして敷地内の土中環境改善です。一年前の環境と思うと劇的に快適なゲストルームになってきました。ゲストルームの次はゲストハウスと思っています。
というのも、インターンに来てくださる皆さんには一つの共通点があります。
それは、皆さん昔ながらの循環する民家や暮らしに興味をお持ちであること。
学校では伝統ではなく現代的な建築や土木を学んだり、住宅ではなく中大規模の建物を学ぶ場がほとんどで、民家や暮らしを学び経験する場は少ない。また、民家や暮らしに興味のある友人も周りには少なく話し相手がいないそうで、インターン期間中に私や現場でお会いする方々とのお話がとても楽しいとの事。
あまりにも皆さんが口をそろえて同じような事をおっしゃるので、だったら2~3人が宿泊できインターン同士が交流できるような場所を作れば、みんなもっと面白くなるんじゃないかなということで、もう少し先になりますが空き家を「ゲストハウス」に改修しようと思っています。
インターンに来られる方は、ゲストルームも楽しみにお越しください。