2018年の夏、ようやく土地建物の購入が済みました。
大工工事は、名古屋の工作舎 中村棟梁のもとを独立される 山七建築工房の佐藤さんにお願いする事にしました。そして実施設計の為の一部解体が始まりました。
壁天井を剥がすと、強烈な丸太組と七間1本物の地棟が現れました。
本で読んで見た茅葺き民家特有の軸組みを、実際に見て触れて感動しました。
規模の小さな茅葺きの為なのか、初めて見るサス構造も新鮮でした。
茅を抜いてみると、この民家の茅は小麦葺きでした。
200年を生き、200年の深みを感じる建物に、昔の方々への尊敬の気持ちが溢れるとともに、今の私の頭ではこの建物には到底かなわない無力感がありました。今の自然に抵抗する建築技術で、この日本で200年美しい姿で居続ける建物を作ることはきっと無理だと思います。
結局、茅葺き民家に触れて、近づけると思った昔の人達の土俵は離れていってしまいました。
出直しですが、一つでも二つでも何かを学び、次に生かしてやろうと思ってますよ。
損傷部分や耐力要素を確認しつつ構造計画を検討しながらの意匠計画です。
結局は解体ヶ所を減らし既存利用で考えていくと、もとあった形に戻していく作業になりました。
茅葺き屋根工事以外の積算を佐藤さんに依頼する一方で、茅葺き職人さんを探す為、時には建て主といろいろ回りました。
茅葺き体験のワークショップに参加したり、茅葺き職人の集まりに参加したり、茅葺きに関わる設計の方や茅場の方にまでお話をお聞きしました。また、葺き替え中の現場に行ったりと、茅刈りにも三回ほど行き、茅葺き漬けの期間を過ごして、最終的にお施主さんと一緒にワークショップに参加して、地元岐阜県の飛騨かやぶきの杉山さんにお願いさせて頂き、引き受けて頂けました。
2019年の春、2年間を経て、いよいよ工事が始まりました。
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