【ご案内】3月31日 三和土ワークショップ

愛知の茅葺き再生2

現場が動き出し始めました。この仕事は中古物件の購入からのスタートでした。
この記事では今から約2年前、購入前の民家の様子を紹介したいと思います。

最初の建て主からの連絡は、2017年の夏でした。伝統工法への思いの詰まったメールを頂き、すぐに現場の見学にお越し頂いたのが、初めての出会いでした。
お話をお伺いすると、既に購入を検討している土地付きの民家があるとの事。購入前の段階で、改修可能か?耐震性は?費用は?など、悩んでいるので相談に乗って頂きたいとの事です。

今までこの手の古民家再生の話は、設計の仕事に繋がらない事が多々あった。予算の問題であったり、損傷がひどい場合は建替えを勧めたり、諦めて頂く説明をしなければいけなかったり、そんな訳で自分が民家再生が好きではなかったのですが・・・、数か月後に物件の写真を送って頂きました。
こちらが、送ってい頂いた写真。

江戸時代の建物で、空き家物件、雨漏り他、故障有。
雰囲気は良いけど、どんだけ損傷があって、予算はいくらで、どこまで直すことが希望なのかなと考えると、多分仕事にならないだろうなと写真を眺めていたら・・・、

屋根の上に「茅葺き!?」発見・・・。
板金の下には「茅」も残ってる・・・!?

実は、この写真を見る数カ月前に、近所の茅葺き民家の解体現場を見て「もしこれから、僕の力で茅葺き民家を守れるものなら、必ず守ろう・・・。」と思っていた所でした。
しかし、こんなすぐに話が来るとは思わず、守ろうとは言ったけど・・・、守れるようになりたいという意味で、まだ何もしてないのに、もう来たの!?という感じでした(笑)

伝統的な建物の中でも、現在新築が困難な茅葺き民家の設計の経験などないですし、実際に茅葺き民家の現場も見たことなければ、暮らしている様子も知りません。茅葺き民家の再生工事の、予算や工法や設計や職人さんなどもわからない。
当初は、茅の葺き替えなんてことは、一般住宅ではこの時代にできないと思っていましたし、板金を被せるにもどのような方法があるのかわからず、どの形まで再生することがベストなのかなど、今まで全く考えたこともない世界でした。
仕事にならないかなと思いながらも、いざ考え始めると、民家を守ると言う事は簡単なことですが、実行に移すことは大変なパワーが必要だという事を、痛感しました。

当然、私以上に悩んでいるのは、体を張って茅葺き民家を残そうとしている建て主さんです。
一度建物を調査しないとわかりませんが、こんな問い合わせからチャンスに繋がるんですね。
チャンスは急に来るもので、自分がどれだけ準備できていて、出来ると思えるかなんですね。

という事で、この家に初めて行ったのは、この写真を見た2か月後の2017年の冬の事でした。
【続く】

建て主Blog https://kota.tsuchikabe.com/