竹が入り、小舞掻きが始まりました。
私の地元付近では丸竹を使いませんが、今回は間渡し竹に丸竹が入ります。
丸竹が入ると竹小舞の強度が強くなります。今回は特にシュロ縄なので、縄を強く引く為にも丸竹が必要との事。伝統工法の家作りは、地域ごとに入手できる素材の特性に違いがある為、地域ごとの素材に倣った家作りの作法があります。
古い民家の改修に立ち会うと、東海地方で丸竹が使われていることは少ないように思いますが、関東から東北地方では丸竹がよく使われているそうです。
入手できる竹や編む物の素材にもよりますが、荒壁土の特性等も関わっているような気がします。
今回は、石場建ての伝統工法ではなく、アンカーボルトのある手刻み・土壁の在来工法になりますが、耐力壁は筋交いや構造用合板を使わず、土壁の耐力だけで設計しました。
在来工法の構造計算は、壁量計算と許容応力度計算の2通りあります。
今回の在来工法の住宅で、簡単に2通りの計算方法のご紹介をします。
尚、伝統工法の構造計算は、限界耐力計算となります。
1.46条 壁量計算
単純な構造計算で、平屋は1F-15・二階建ては1F-33/2F-21という係数が定められており、床面積に係数をかけて必要な耐力壁の長さを求め、それ以上の耐力壁の長さが存在すればOKです。
必要な耐力壁の長さ | 存在する耐力壁の長さ | 余裕度 | ||
X 方向 | 2550 cm | 6770 cm | 2.65 倍 | OK |
Y 方向 | 2550 cm | 7920 cm | 3.10 倍 | OK |
壁量計算では、X方向 2.65 倍、Y方向 3.10倍。余裕を持って満たしています。
※ 耐力壁は土壁の壁倍率1.5倍のみです。
2.82条 許容応力度計算
一般的な構造計算で、建物の重量を求めて、地震時に建物に加わる想定の地震力が求めて、それ以上の耐力壁の許容耐力があればOKです。
建物に加わる地震力 | 耐力壁の許容耐力 | 余裕度 | ||
X 方向 | 125.1 kN | 133.1 kN | 1.06 倍 | OK |
Y 方向 | 125.1 kN | 155.9 kN | 1.24 倍 | OK |
許容応力度計算では、X方向 1.06 倍、Y方向 1.24倍 。ギリギリで満たしています。
※ 耐力壁は土壁の壁倍率1.5倍のみです。
同じ建物でも、壁量計算では 2.65倍 、教養応力度計算では 1.06倍 となり、どの計算方法を採用するかかによって耐力壁の量は全く異なります。
ただ、どちらも法律で定められた計算方法であり、どちらかを満足すればOKです。
係数で決まる壁量計算に比べ、重量等求める許容応力度計算は、約2倍の壁が必要になります。計算の考えは設計者判断ですが、私は壁量計算の場合、余裕度が 2.0 倍以上を目安としています。
今回は地下室がある混構造の為、基礎の立ち上がりとアンカーボルトが必要となり、在来工法の許容応力度計算をしました。
普段は、金物を使わず大工さんの手刻みによる木組みと土壁の家を作りたいというご要望であれば、石場建てにさせて頂き、伝統工法の限界耐力計算を行っています。