12月29日(日) 天白石場建て 完成見学会

一宮の石場建て12 造作

荒壁が乾燥したら大工の造作工事に入ります。
こちらは夏頃の現場風景です、今年の夏は暑かったですね。
大工さんの工房で加工された木材が、現場に運び込まれて納まっていきます。
造作工事は主に、床板・壁板・天井板・建具の枠材・造作家具類です。

このように一つづつ柱等に穴を掘って、納めていきます。

こちらは、床板です。製材屋さんである岡崎製材所さんオリジナルの厚板45mmです。

「家の自然な素材の厚み(密度)」と「家の空気の質」は比例関係。

私の勝手な物差しの一つですが、荒壁下地の左官仕上げのように、この厚板の心地良さも特上になると思ってます。
ボード・合板下地で作る既製品の壁・床・天井でも、見た目は同じかもしれません。
しかし、本物の自然な素材の密度が濃い家は、素材の柔らかさ・表情・香りがあり、家に入るだけで空気の質の違いを肌で感じることが出来るんです。

足固めと大引きの上に、根太と40mmの断熱材(ウッドファイバー)、その上に床板です。
二階の床板も同様に厚板で、踏み天仕様です。

壁・天井の板貼り仕上げです。全て天然乾燥の無垢板です。
キッチンの一部などプラスターボードも使用することもありますが、その他の壁・天井は無垢の木の板張りか、土壁下地の左官仕上げで、出来る限り職人さんの手で作っています。

天井は、全て無垢の木の板。
壁は、無垢の板張り仕上げと、荒壁下地の左官仕上げ。
木組みの美しさを邪魔しないように、出来る限り単純に構造材を現したいと思っています。

こちらは、岡崎製材所さんの欅の一枚板。
棚や机なども、集成材ではなく無垢材で作ります。一枚板であったり・板を継いだりします。これらは材料と大工さんに合わせて使い分けます。
無垢材は費用も掛かるので、ある材料である寸法に合わせて作ります。

欅の板材が納まった様子です。
左は和室、右は茶の間。
天井は踏み天井の厚板仕上げ。
壁は荒壁下地真壁左官仕上げ。
床は和室が本畳、茶の間が厚板仕上げ。

木と土など無垢の素材だけで作る、木組み現しの部屋です。
シンプルであるほど、素材を引き出せると思います。

造作前の姿。
建て方後に荒壁をつけた後の姿。

造作後の姿。
現状。あとは、荒壁を仕上げて、建具を入れて完成です。

あまり変わっていないと思って頂ければ成功なのですが、これが真壁即意匠の伝統工法の家です。
木組みや土壁が構造であり、そのまま意匠(仕上げ)にもなるのです。

構造を現す事と無垢の素材を使う事で、家は時間とともに住む人の暮らしの跡を残す器となり、古民家と呼ばれる建物のように深みのある空間に成熟し、永く愛される家になると思っています。