東海地域の「建築の素材」を探しに行ってきました。
伝統工法の家つくりの価値は、時間の経過とともに味わいが深まる「本物の素材」を、現しで使うことが出来る事です。
そんな「本物の素材」は、自然の一部であり、そこら辺に有るものを建築の素材として使います。そして、役目を終え処分されるときは、自然に還る素材です。
近年「自然素材」という言葉をよく聞きますが、本来「素材」とはその字の通り「素の材」であり「自然の材」の事を言い表していたんだと思います。
そう考えると「自然素材」という言葉は、不自然に感じるわけですよね。
以前から工場で作られる「自然素材」まで現れ、それが通用する世の中になってしまい、「自然素材」という言葉が恥ずかしくて言えなくなりました。
「素材」の一つの基準は、私たちが自然に戻す方法を知っている材だと思います。
今の世の中は、自然に戻す方法を知らない材(ゴミ)で溢れかえっていますが、ゴミも自然素材として通用する時代が、もすぐそこまで来たような気がします。
こちらは岐阜の採石場です。
建物の基礎として使う礎石であったり、土留めやアプローチに引き詰める石です。
コンクリートを使わずに建築や外構を考えると、毎回石にたどり着きます。
採石場は初めて来ましたが、何もかもが大きかったです。
ここの石は蛭川御影と呼ばれるもので、青白い墓石とは違い、錆石のように茶色がかって建築には使いやすそうです。
将来この石で我が家の外構をやってみたいと、妄想が止まりませんでした・・・。
次は、愛知の材木屋さんです。
広大な土地に、杉中心に大量の木材がストックされていました。
構造材から造作材まで天然乾燥材が揃っており、管理も丁寧で材質も良さそうでした。
特殊な材以外は十分揃いそうで、こういった製材屋さんはこれからますます大切にしていかねばと感じました。
こちらは、三重の地松屋さん。
一度にこんなに大量の松丸太を見たのは初めてです。
とにかく大きくて長くて、住宅には使用不能なサイズでしたが、意匠の面からも大切な差鴨居だけは、赤身で揃えて頂ける事になりました。
地松は管理が難しく、白太に青カビが入りますが、赤身であれば全く大丈夫なんですね。
今では松を使う建築が減り、大工が減り、扱う場所も減り、手に入れることが困難です。
いずれ私自身で押えておかなければ、松を使った設計が出来なくなるかもしれませんね。
こちらは、内部の左官仕上げのサンプルです。
本聚楽に黒聚楽、三河の赤土壁と豊田の黄土壁。
東海地域は、全国でも土壁が多い地域ですが、木と同じく土にも恵まれています。
木と大工、土と左官、まだまだ勉強する事ばかりです。設計の仕事は一生勉強ですね・・・。
そして、近所の竹やぶで竹刈りです。
夏まで様子を見て、問題なければ、我が家の小屋の壁に使ってみます。