【ご案内】3月31日 三和土ワークショップ

名古屋の石場建て1 土地探し

名古屋市内にて、石場建ての計画です。

今回は土地購入前からの依頼でした。
昨年に購入予定の土地を見させて頂くため、土地契約直前に現地を行きました。
お値打ちな土地だったのですが準防火地域、現地調査・近隣データを調べたところ、地盤増幅率は高く軟弱地盤かつ液状化の可能性も高い土地でした。

私は地盤を見る時は、①地耐力と②地盤増幅率の二つの指標を参考にしています。
①地耐力は、建物を支持する地盤の固さです。地盤改良等で改善することは可能です。
②地盤増幅率は、地震時の揺れ幅・周期の大きさです。土地の性質で改善することは不可能です。

石場建ては変形性能が高く(周期が大)地震に強いと思われますが、地盤増幅率で決まります。
地盤増幅率の小さな地盤は、揺れ幅・周期も小さく、周期の大きい石場建てへの伝達は少ない。
地盤増幅率の大きな地盤は、揺れ幅・周期は大きく、周期の大きい石場建ては共振する。
逆に、強度の高い(周期の小)金物合板で固めた建物の方が、伝達は少ないと思います。

ここでは金物合板で固めた在来工法をお勧めし、石場建てであれば土地の変更をお願いしました。
構造を考える時は、地盤・上部構造(足元・耐震要素・接合部)の連続性がとても重要と思ってます。
土壁・手刻み・伝統的な仕口など部分的な要素だけでは伝統工法の良さを生かしているとはいえず、総持構造である伝統工法は足元から竹小舞まで全ての部材が構造だと想像して考えています。

結局迷わず、石場建てにふさわしい土地を探すこととなり、一緒に土地を見て回っていた所、設計欲が爆発する土地を見つけました ♪ 建ぺい率・容積も厳しく宅造にかかり、何年も売れていない土地だったそうですが、防火は22条だけで地盤も良さそうな雰囲気です。
何より大高城址を見下ろす切土の斜面に、道を挟んで保育園と小学校なので、多分この環境は今後も変わらない。
厳しい規制と引き換えに、緑が多く空が広く感じる所でした。

設計はお任せしますとの事で、早速プランと概算を提案して、気持ちよく OK 頂けました!
地盤調査後、土地の購入も無事に終わり、来年早々から刻めるよう実施設計スタートです。