船頭の土壁5 土壁

船頭の土壁、いよいよ左官仕事です。

今回は、初めて一緒にお仕事をさせて頂く左官屋さんで、親子で営んでいる愛知の丹羽業務店さんです。
左官にしっかりはまっている親方と、京都で修業されてきた息子さん。
息子さんと初めてお会いしたのは、豊田の現場の応援に来ていただいた時で、二回目にお会いしたのは、左官職人さんたちの練習会に潜入した時でした。

若いけれど伝統的な左官仕事に興味を持っている息子さんで、練習会の時にも大津の磨きを黙々とやっていた。「土を使った仕事が好きだけど、今はなかなかそういう仕事に恵まれていない。こちらに戻ってまだ頼まれたことはないけれど、頼まれた時にいつでも仕事が出来るように準備してます」と。
みんなでワイワイやっている練習会なのに、その言葉に胸が熱くなって、涙をこらえるのに必死でした。必ず彼に大津磨きの仕事を持って行こうと、その時決めた。
2年かかったが、ようやく彼の舞台を準備できた (^^)

よく若い職人が減ってきたとか、伝統が途切れてしまうといいますが、口だけでは本当に途絶えてしまうが、行動に移すとやれる事は山のようにたくさんある。熱意があって日々努力をしている建築に関わる人たちはたくさんいらっしゃる。左官だけでなく、大工も土木も茅葺も瓦も建具も製材も設計も監督も事務も・・・。そして、そんな仕事を求めている建主もいらっしゃる。足りないのは、建主と作り手を繋ぐ仕事であり、建主に提案する立場にいる人の思いです。

 

 

さて、現場の様子です。

建前後に大工が貫を差して、いよいよ竹小舞編みです。
今回は内外真壁があるのですが、左官屋さんがチリ切れ防止に、工夫をしてくれました。

割り竹に紐を巻きつけたものを、柱内に打つ。

細かいところも、手間をかけて仕事をして頂きました。

やれる事、工夫できる事は、本気で考えたらいくらでもある。

 

竹小舞が終われば、次に荒壁です。

今回は荒壁土も半年以上前から、うちの自然栽培の稲藁をふんだんに使って、丹羽さんの土場で仕込んでくれました。

先ほどのチリ際は、こんな仕事をしていただきました。
これで安心ですね、ありがとうございました。

荒壁には厳しい季節ではありますが、しっかり養生してしばらく乾燥に入ります。

 

 

ここからは、大好きな風景。
竹小舞の夕景の撮影です。
シャッターチャンスはマジックアワーの数分ですが、私にとっては建前に次いで設計の後の至福の時間なのです。

木組みと竹小舞の姿は、見栄えや綺麗さの為でなく、強く長く生き抜く構造を作る為の機能から来る美しさです。いつもこの姿を見ると、虫や鳥たちの巣のようで愛おしい気持ちになる。

今回は敷地の関係上、RCの地下室の上に木造の総二階になりました。
総二階でも、昔の民家を参考にあの手この手でいろいろ調整する。

最近プランを依頼されると、納得できる軸組が思いつくのか、不安になる。
スッとひらめく時もあれば、ひねってもひねっても出てこない時もある。

思いつきの変なコンセプトをたてたり、新しい事をやってみようとか、格好良い見栄えにしようとか、そういう気持ちが入った家は数年後に必ず恥ずかしくなる。
普遍的に愛される家を提案したい作りたいと思うと、機能からくる美を兼ね備えた自然に従った軸組・意匠が必要です。

今回も、納得できる軸組が描けて、一安心です。

今日は2023年12月31日。

最近ずっと悩んでいた物件があったのですが、ついさっき色々完璧な軸組を思いついた・・・。
残像が残っているうちに、図面にする。上手くいった時が楽しんですよね。
ここ大晦日と正月は誰からも電話がかかってこない、良い正月になりそうです(笑)

では皆さん、良いお年をお迎えください。