2ヶ月ぶりの投稿です。
昨年の夏に出会った本のおかげで、はじめてこんなに長い期間ブログをさぼってしまった…。
と言うぐらい影響を受けた本がありました。
いろいろ調べ、千葉・愛知・山梨とワークショップや講座に参加したり、自宅で実践したりと、今までの過ちを反省しながら、頭の中を整理していました。
その本は「土中環境」、キーワードは「伝統土木」。
実はこの分野の事は聞いたことがある程度で、全く理解していませんでした。
目に見えない土中の事を、自分の暮らしの中に取り入れるイメージが全くできず、今までは興味が湧かなかったのですが、このたびは伝統建築からの伝統土木の流れで繋がりました。
礎石より上の伝統建築と、礎石から下の伝統土木は、不可分。
問題は山積み。
さて、伝統土木を簡単に言うと、例えば現状私の頭の中は、こんな感じ。
伝統建築(木組みと土壁) ↔ 現代建築(金物と接着剤)
伝統土木( ?? ) ↔ 現代土木(コンクリート)
戦前の千年続いた伝統工法 ↔ 戦後の短命な現代工法
自然に倣う造作 ↔ 自然に逆らう行為
経験により積み上げられた技術 ↔ 机上の計算から始まる技術
伝統土木がまだうまく説明できませんが、正しいという事だけは分かっている。
「石場建ての家」については、まずコンクリートの基礎を作らずに、行政への申請は簡単に下りないと思う。石場建てで建てる以上は、構造上の安全証明が必要で、礎石より上は限界耐力計算で突破できても、礎石より下の基礎や地盤はどうするのか。
そして申請よりも難しいのは現場。
柔かい地盤には伝統建築が適さないのと同じように、支持層が深い所や樹木の少ない住宅地などの場合は、伝統土木がどこまで適応できるのか。
という訳で、上より下の方が圧倒的によくわからない。
こんな状態ですが、いろんな人を頼りながら、伝統土木の道で行くしかないと決めました。
実はこの本からは、建築以外でも今の暮らしについて大変考えさせられました。
もともと私は、学生の頃は環境破壊に興味を持って化学を専攻し、30歳で自然との共生に憧れて実家での里暮らしを始め、現在は自然に還る建築を目指して伝統工法の家作りをやっています。
今まで自然環境に対して、常に自分の中で理解困難な問題や疑問があったのですが、この本のおかげで様々なことが繋がり合って、ちょっとした答えらしいものが出始めた気がします。
例えば、こんなこと。
・エネルギーを作る為に、山や畑など自然を潰して太陽光発電をする事。
・庭や空きスペースの維持管理が大変だから、コンクリートを打つ事。
・崖が崩れると危険だから、山にコンクリートで擁壁を作る事。
・草の管理が大変だから、畑や田んぼを耕す事。
・上の地域から雨水を側溝に流すから、下の地域では溢れる事。
・木は倒れると危ないからと言い、木を切ってしまう事。
・ホームセンターに並ぶ除草剤、除草剤をまいたら感謝される事。
・ダムを作る事、山の中に大きな道を作る事、ガードレールを作る事。
・などなど
このような自然に逆らう行為が良くない事はわかるのですが、何が原因で問題が起こり、私たちの行為の何が悪くて、どうすれば持続的な解決につながるのか。
それは目に見える地上の事しか考えていなかっただけで、この本に書いてある「目に見えない土中の環境や大地の呼吸」の意味を知る事で理解が進み、解決に近づくことが出来る。
もうダメだと思う事ばかりですが、諦めず出来る事をやっていく。
Even if I knew that tomorrow the world would go to pieces, I would still plant my apple tree.