【ご案内】一宮の石場建て 現場見学会

小谷の茅場

初めて茅場に入りました。
想像していたものを、遥かに超える素晴らしい所でした。
こんな場所で育った茅を、屋根として使ってきた日本の建築に改めて感動しました。

古くから村の方々が守ってきた場所は、何百年という時間を経て、「風土」と呼ぶにふさわしい場所になったのでしょうか。
江戸や明治に建てられた古い民家には、魂が宿ったかのように感じる事がありますが、この茅場に来た時も同じような感覚になりました。

茅を育て建築の素材として使うまでに要する時間と手間、持続可能で自然に従った方法、古くから伝わる職人の技術など、木組みや土壁の素材に通ずるものでした。
その土地の気候や風土ごとに育つ素材が違い、その地で採れる素材を気候や風土に合わせて暮らしやすいように工夫して使っている点も同じです。

日本の建築は、農耕との境が曖昧で、「結」から始まったんだと実感しました。

今回、茅刈りの体験と、茅場のお話を聞きに行ってきました。

茅は大茅(ススキ)と小茅(カリヤス)に分けられ、大茅より細くしなやかな小茅は葺きやすく、大茅の倍以上の耐久性があるとの事です。
穂先の白く大きい方が大茅で、穂先が小さく色づいた方が小茅。
小谷では、大茅は刈らず、小茅を刈っていました。

永く持つ良い茅は、比較的標高が高い痩せた地で育つので、春に毎年野焼きをして草木が茂って土地が肥えないように管理されているとの事です。
ここは全国でも有数な小茅(カリヤス)の産地なのですが、近年気候の変化か管理方法なのか、肥え始めた土地が増え雑草や木が目立ち始め、小茅も大茅の勢いに押されて減少しているそうです。

刈った茅は径25㎝ほどで1束としてまとめ、6束で三角を作りしばらく天日で乾燥します。
雪が降る前の11月中には、回収して倉庫で保管されるそうです。

茅葺きの状況は、数十年前に途絶える一歩手前まで行ったそうですが、その後若手の後継者が育ち、今では100名以上の茅葺き職人が全国でご活躍されているそうです。
しかし、伝統工法は職人の技術だけではなく、素材の生産体制も必要です。
今茅葺き業界では、素材である茅の入手・茅場の維持(素材の生産体制)が課題との事で、今回茅葺き職人の茅刈り体験に至ったそうです。

伝統工法の中でも、大工・左官に比べて茅葺きは「結」の要素が大きいと思います。
昔の土壁は、小舞の竹や荒壁は建て主が準備していたと聞きます。
茅葺きも、茅や藁縄の準備は建て主がしていたそうですが、収穫時期の限られている茅は、村の人達みんなで協力して採取してきました。
「結」がほぼなくなってしまった現在において、「結」で守られてきた茅場を維持していく事はこれからの大きな課題との事。

 

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