音楽家の家3 職人に依頼

 

音楽家の家は、土地探しから始まった「石場建て」家作りです。
これから家作りをお考えの方に、家作りの流れを紹介しています。

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3回目は「職人に依頼」。

一般的な家作りは、ラフプランと予算の方向性が決まれば、設計契約となりますが、
自然の素材で作る伝統工法の家は、設計契約前にもう一つやる事があります。
それは、工事を依頼する職人さんの決定です。 

なぜ設計契約前に決定するかというと、職人さんの技術を生かす為、職人さんと相談しながら設計したいからです。
あと、工期も決めなくてはなりません。

職人さんとは、大工・製材・左官・建具・茅葺・石据え・・など、自然の素材を扱う職人です。

 

施工会社

私は設計業務だけなので、建築工事は施工会社が行います。
私が一緒に仕事をしている施工会社には、以下の二つ形態があります。

① 大工さんが、元請けとなり現場監督も同時にしている大工工務店。

② 元請けの工務店に現場監督がおり、大工さんが下請けとして入る場合。

今回の施工会社は、岐阜県飛騨の大工工務店 一軸の野村さん をお施主様にご紹介しました。

理由は、技術があり、同じ方向を向いている数少ない職人だと思っているから。
他には、工期のタイミングが合った事、お客様と年齢が近かった事です。

 

今まで、一緒に伝統工法の仕事をさせて頂いた施工会社は10社以上になります。
毎回、技術があり同じ方向を向いている職人さんたちを、随時ご紹介させて頂いています。
出来れば若い職人さん、お弟子さんのいる親方にお願いすることで、技術の継承に繋がればと思っています。

 

大工

職人さんは、修行先・仕事をされている地域・素材の調達先・職人仲間などの違いで、皆さん考え方や好みや仕事がバラバラです。
お施主さんの要望をかなえる事と同じくらい、職人さんの技術を生かす事が、私の仕事です。

今回も野村さんとは、設計の初期の段階から、お施主さんの要望に応える為の木組みの意見を頂いたり、野村さんがしたい仕事や使いたい材料など聞いたりして、設計を進めました。

 

自然の素材を扱う職人さんは少なく、半年~1年先は空いてない職人さんがほとんどです。
特に大工さんは、設計が終わってから探していては、家の完成が遅れてしまいます。
引き渡し時期を決定する為にも、職人さんを決定してから、設計契約をしています。

  

よくある事が、お客様から知り合いや身内の大工さんを紹介して頂くことです。
2件に1件は紹介頂く事がありますが、一度も実現したことがありません。

理由は、技術的に出来なかったり、予算が合わなかったりするからです。
今までの経験上、大工さんであれば5年前に手刻みしたのが最後だとか、工務店であれば荒壁の相場が分からないだとか、そんな時は難しいと思います。

自然の素材を扱う理想の大工さんは、毎物件手刻みしている方や、プレカットをやってない方や、これからの物件は全部手刻みするという意気込みのある方です。
伝統工法の仕事をお願いしようと思うと、年に1棟ぐらいは荒壁の仕事をしている大工さんや工務店さんでないと、慣れない仕事は段取りが遅く、お互い予算が合わないと感じます。

 

 

 

製材

材木を生かす為には、大工さんと同時に製材屋さんも、設計前に決めます。
今回は、野村さんがいつもお取引されている天然乾燥材を扱っている製材屋さんと、桧の天然乾燥専門店の東桧さんと、地松の天然乾燥専門店の山崎さんです。

今回も設計の段階で、野村さんと一緒に製材屋さんを回りました。
3Mや4Mの規格品を使う場合は、材木を確認する必要はありません。
太鼓梁や長尺物など規格外の材木を使う場合は、製材屋にある在庫を見て設計します。
在庫がなければ、山にオーダーして材木を準備して頂きます。

 

今回の小屋組は、仕事をする野村さんと、材木を準備する製材屋さんと、三人で決めました。
軒の出を六尺にする為に、出し桁登りの合掌とし、その為に8Mの桧の太鼓の直材14本。
こんな木組みも職人さんと素材の生産者さんと繋がることで可能になる。

自然素材の家は「 素材を扱う方 と 素材を生産する方 」の両者がいないと成立しない。
私の仕事はそのつなぎ役。

 

 

 

左官・建具

左官屋さんと建具屋さんも、設計前にお話をしたいですね。
通常左官屋さんと建具屋さんは、施工会社とお付き合いのある下請けさんになる事が多いです。
今回も、野村さんと一緒に仕事をされている左官屋さんと建具屋さんを紹介いただきました。
荒壁は、岐阜の宮崎さん。仕上げは、揖斐の森さん。

設計する前に、職人さんとお話しする事は、良いことづくめで悪い事は一切ない。
職人さんの使いやすい素材・得意な仕様があれば、どんどん設計に取り入れられますからね。

 

 

 

土木(石据え・造園)

もう一つ、設計前に決めておきたいのは、土木の職人さんです。

コンクリートを使わない石場建てや、敷地の環境改善も家作りと同時にやろうと思うと、自然の素材を使って土地を育てる造作をしたい。
それをお願いできる職人さんは、数少ないですがいらっしゃいます。

かといって、コンクリートや既製品を使って、どんな自然環境でも一律現代工法で施工されている基礎屋さんや外構屋さんでは、やりたい事の真逆の造作になってしまう。

というわけで今回は、基礎の石据え・雨落ち・石積み・木柵土留め・造園などの土木作業は、わたくし 水野 が担当する事にしました。

建築と土木が連続している家作り。
建築士が描いた図面を、作ってくれる人がいなかったら、建築士が作るしかない。

 

 

ここまでで、設計の準備は完了。
次回は、いよいよ設計です。