音楽家の家4 設計の流れ

 

音楽家の家は、土地探しから始まった「石場建て」家作りです。
これから家作りをお考えの方に、家作りの流れを紹介しています。

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4回目は「設計の流れ」です。

土地が決まり、ラフプランと予算が決まり、職人さんたちも決まれば、いよいよ設計契約を結び、設計作業に入ります。

 

1.地盤調査

事前に近隣のデータは確認したうえで、調査方法を決める。
普通はSWS。液状化の可能性がある時はボーリング。
土地によって使い分ける。今回はSWS。

コンクリートの基礎を作らない石場建ての場合は、地盤調査を最初にする。
理由は、礎石を据える工事は、地盤改良工事や基礎工事でもあり、意匠的な造園工事でもある。
また、軒の出や玄関の仕様、柱や束の位置や本数など、礎石より上の建築にも関わってきます。

 

2.図面一式 作成

建て主さんや職人さんと話をしながら、図面一式を作成します。
まずは、配置と平面と断面の決定。外からも内からも心地よく。
建て主さんとは、設計させて頂いた家を一緒に回ったり、ワークショップに一緒に参加したり。
職人さんとは、現場や土場で、仕事や素材を見せて頂いたり、考えを話し合ったり。

構造即意匠の伝統工法の場合は、次に矩計・伏図・軸組図など構造図を描きます。
構造図と同時に限界耐力計算をしながら、差し鴨居・土壁・小壁の配置バランスも決めます。
続いて、頭の中の立面・平面詳細・天井・展開・建具・家具・電気給排水・・・と描きあげます。

今回は建て主さんの要望が明確でしたので、とても楽しく設計させて頂きました。
アプローチ、斜面の土留め、造園、薪棚、駐車スペースなど、外構工事も計画します。
見積りで予算OVERを抑える為にも、コンパクトにシンプルに計画する事を心がけています。

 

3.見積依頼

図面一式を、一軸の野村さんに提出して、見積もりをお願いする。
最近は単価の変動が激しく、物がすぐに入ってこない場合がある。
最近は、建て主さんに理由を説明して、既製品類は時価で見積をお願いしました。

 

4.金額調整

予算に対して、少しOVERの見積もりでした。
今回は内容を整理して、製品のメーカー変更やグレード変更で間に合いました。
初めての工事会社さんとの時は、どんな見積もりが来るかドキドキです。

 

5.構造計算書・構造図 作成

確認申請と適合判定に申請する為に、構造計算書と構造図を作成します。

図面作成時点で、建物重量と耐震要素である復元力特性はほぼ算出しているので、変形角はOK。
他、どの柱がどれだけ浮き上がるか・通し柱が折れないか・小壁がついてる柱は折れないか・ゾーン分けして変形角算出・場合によっては水平構面の検討・偏心率の検討・風圧力の検討・部材の検討、基礎の検討・・・。
いろいろ検討して、構造計算書と構造図をまとめる。

今回はXYともに1/30以下でした。土壁が多く、階高も高く、六寸勾配。
という事で建物が重く、礎石の接地面積が結構大きくなってしまった。

 

6.外皮・一エネ計算(気候風土適応住宅 応募・・・結果 不採択)

今年の4月より、省エネ基準についての説明が義務化されたので、外皮・一エネを計算。

今回の断熱材は、フォレストボード(床40mm:壁15mm:屋根40mm)。
外部建具は、木製建具の複層ガラス(3mm+Air12mm+3mm)。
天井は化粧野地12mm、壁は竹小舞荒壁下地70mm、床板30mm。
今回はUA=1.23。

伝統工法の家を無理なく断熱していると、残念ながら省エネ基準には届きません。

 

2025年からは省エネ基準が義務化になると、今回のような伝統工法の家は基準をクリアできず、建築することができません。
しかし別ルートで、省エネ基準を守れなくても、日本の文化的な建築を守る為の「気候風土適応住宅」という枠組みがあります。

今回は、気候風土適応住宅にも応募しましたが、これまた残念ながら不採択。
理由は、周辺の豊かな自然環境との親和性に対する配慮が見られなかったとの事。

 

7.確認申請・適合判定

石場建ての確認申請は、建物を基礎と緊結しないのであれば、仕様規定を満足しないので、構造計算有りに回されて、ルート3の限界耐力計算が必要となり、残念ながら適合判定に送られます。

ややこしい構造計算なしで石場建ての申請を通す方法はないですか?と聞かれますが、無いです。
そもそも申請よりも、構造計算をして安全性を確認することの方が大切ですね。

 

8.図面修正・予算修正

最初に図面を作成してから、構造計算や申請をしている間に、変更箇所が出てくる事があります。
今回は、礎石下の改良方法に指摘があり、当初の図面を修正し、見積も修正しました。

 

9.工事契約

次は、いよいよ工事に入ります。