【ご案内】3月31日 三和土ワークショップ

豊田の石場建て8  割栗石敷玉石基礎

先日、上棟しました「豊田の石場建て」、基礎工事の様子です。
今回の基礎工事は、三重の今西さんにやって頂きました。

今西さんと初めてお会いしたのは、昨年10月の地球守の石場建てワークショップでした。
今年に入り、愛知の髙田敦子さんが主宰して下さっている「地球守とんぴゅうの社プロジェクト」にも講師で来て頂き、そのご縁から今回の基礎工事をお願いさせて頂く事になりました。

今回の基礎工事は、普段と違いコンクリートの基礎を使用しない、古くから行われていた割栗石敷玉石基礎です。

割栗敷玉石基礎を選択した理由

家を作る事は、自然を壊す事ではなく、周囲の環境を良くする事としたい。
永く愛される建築に必要なものは、呼吸をして長く生き続ける建物と土地。
コンクリートではなく土や草の上に床を組んで暮らしたほうが、心地良い。

この話は長くなるので、いつか書こうと思います。
ご興味があれば、今週末の構造見学会で、お話ししましょう。

工事の様子

https://www.youtube.com/watch?v=o5kpab–Jss

 

床堀

隣接する石との関係、地面の耐力、柱の軸力を考慮して穴を掘る。
裸地となった、穴の側面や底は、燻炭を投げつけて菌糸を誘導。

割栗石

石と石とが相互に力を伝えるように組む事で、空気や水が動ける空間を作る。
割栗石天端は、この上の礎石の高さに調整。礎石が載ると、さらに締って強く組み合う。

菌糸の為に、空気や水が動き、昆虫や植物が暮らすきっかけとなる空間を土の中に作る事。
茅葺き屋根を葺く時に、雨に濡れた屋根が乾くように、屋根の中に空気の通り道を作る事。
作業を見ていて、大事にしている所が、なんか似ているなと感じました。

昔の人たちやってきた、自然に従った持続性・循環は、本当に素晴らしい。
コンクリートで締め固める、ビニールで水を遮る、空気の事を考えていない自然に逆らった現代の考え方は、次に何が起こるかを考えていない足し算・引き算の世界に感じてしまいます。

礎石

礎石は、大きさ・厚み・重心の位置、平面具合は、全てバラバラ。
その石を、重心を安定して座らせる、天端レベルを揃える、柱を置く水平な天端、雨がかりは緩やかにな丸みを持たせるなど、いろんな要素を考えて据えていきます。

びしゃん仕上げ

最後はびしゃんで石の天端を仕上げます。

有機物

割栗石の隙間にも菌糸が活動する為の有機物を絡めましたが、最後に石の周辺にも泥土等が隙間を埋めてしまわないようフィルターの働きも兼ねて有機物でカーバーします。

工事中に、今西さんと色々お話させて頂いて、私にとってありがたい事を教えて頂いた。
何かと言うと、「石場建ての家」は、土中の水と空気を動かす装置になるという事。

今まで私は、家を作る事は自然を壊す事でしかないと思い、せめて永く持つ家を作る事が、自然に対して出来る事だと思い、真壁の石場建てにこだわってきました。しかし、石場建てにはそれ以上の自然に対して出来る事を知った。もうこれからは、いろんな難題や思う様にいかない時も、自信を持って進むことが出来そう。
石場建てをやってきて、良かった、報われた、そんな気分になりました。
今西さん、ありがとう!
そして、このような機会を頂いた建て主さん、ありがとうございます!

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建方直前の現場は、草に覆われてきました。
原っぱに建方するみたいですね!