【ご案内】3月31日 三和土ワークショップ

豊田の石場建て2 地域の木で作る家作り

1年以上前の事になりますが、豊田の石場建てで使用する材木のご紹介です。

愛知の土壁愛知の茅葺き再生名古屋の石場建てでお世話になった、新城の昭典木材さんです。家に使われる柱梁となる構造材を、建て主さんと確認に行ってきました。

いつ来ても、木の多さにびっくりですね。天然乾燥材がこれだけあれば、いつでもどんなサイズでも乾いた材が手に入りそうです。昭典さんのような天然乾燥材を取り扱ってくれる製材屋さんのおかげで、伝統工法がやっていけるんですね。

三河方面は杉のイメージですが、桧もたくさんあります。豊田の石場建ては、軒高が低いので差鴨居は無く、梁桁廻りは杉です。
茶の間の吹抜けの見せ場には、桧の丸太組。4Mが8本か、8Mが使えれば6本の丸太を組みます。

こちらは製材の様子。

気候風土適応住宅

さて今回の豊田の石場建ては、気候風土適応住宅です。
気候風土適応住宅とは、国が進めている建築物の省エネに関わる住宅の一つです。

気候風土適応住宅について(https://kino-ie.net/act_441.html) ※木の家ネットから

近くの山の木で家を作る事、天然乾燥の材木を使う事、私は省エネの一つだと考えています。

木が育った環境と同じような環境で使ってあげる事で、木は長く持つ。数日で強制的に乾燥させる高温の機械乾燥ではなく、1年かけて屋外でじっくり天然乾燥をする事で、木は長く持つ。

木が長く持つ事で、家が長持ちすれば、建築サイクルもゆっくりとなり、解体によるゴミが減り、エネルギーは少なく済む。長持ちする事で、その家族はその家に住み継ぐ事が出来き、家の味わいも深まり、次の世代に古民家を残せる。

安い海外から運んできた材木を使う事を思うと、近くの山の木を使う事は、初期コストはかかりますが、長い目で見れば経済的だと、私は思っています。

ただ条件があるとすると、長持ちさせるための工法として、出来る限り構造即意匠の真壁とする為の、大工の手刻みと土壁、そして石場建てが望ましいですが。

省エネとかサスティナブルは、時間軸がどこかによって見方は様々です。
例えば、断熱材を分厚く入れて、エアコンの使用料を減らせば電気代が減って省エネ。または、いつでもどこでも電気が使える時代ではなくなった時に、家を魔法瓶にして2・3日エアコンなしでも室内の温度が変わらない家とすれば、とても省エネ。

それも良いと思います。ただ高温多湿で台風や地震が来る日本で、主流の高気密高断熱の家が、長持ちするのかはわからない。今後も想定外の災害が続く中で、今の家のように50年も持たなければ、家を作るエネルギ―・解体リサイクルのエネルギーと、その間の電気代の差はどうなんでしょう。

リサイクルにエネルギーを消費する産業廃棄物と、土に還る自然の素材。
一世代で役目を終える現在の住宅と、何世代も住み継がれる伝統的な民家。

色んな省エネの形があり、どれも正解ですが、私は耐久性に勝る省エネは無いと思います・・・。

と、長くなりましたが、このような提案内容で、今回気候風土適応住宅が採択されました。
建て主さんと一緒に、将来古民家と呼ばれる令和の民家を作りますよ。

現場では、ボーリングで地盤の調査中。