【ご案内】3月31日 三和土ワークショップ

豊田の石場建て4 地域の藁で作る家作り

こちら何かわかりますか?
はい、藁スサです。

左官仕上げの下地や、左官の仕上げとなる、中塗り土に入れる藁スサです。
私の家づくりでは、必ず使う中塗りの藁スサ。

ちょっと前に、我が家の田んぼの無農薬の藁から、藁スサを生産しようと試みた事がありましたが、まぁ上手くいかなかったこともあり、、、。以前から、藁スサ屋さんに興味がありました。

たまたま、今回の豊田の石場建ての現場の近所に、藁スサ屋さんがあるとの情報を聞きつけて、藁スサ屋さんにお邪ましてきました。

私の想像では、田んぼの近くの土壁の小屋で農的に生産しているイメージでしたが、実際に行ってみると鉄骨の倉庫に結構な設備でした。

資材庫には、原料となる稲わら。
以前より稲わらを集めるのが大変になってきたとおっしゃっていましたが、今後ますます大変になると思います。稲架にかけて乾燥する農家さんは減っているし、藁も次年度のお米の栄養として田んぼに残したいし、そもそも田んぼに転がってる藁を束ねてトラックまで運ぶ労力も大変。

ただ、まだ豊田の山間部では、稲わらは手に入るようです。

こちらは、稲わらを雨にさらしています。あれの為の大事な工程です。

藁を機械に投入すると、いろんな工程を経て、このような裂いた状態になります。その後裂けていないものは再度機械を通し、細かく切ったり、選別して、完成です。

今回お邪魔した藁スサ屋さんは、70代後半のお祖母さんがお一人でされていました。
昔は、倉庫に入りきらないほどの藁を集めて、毎日フル稼働でも注文に追いつけないぐらい、土は使われていたとの事。左官屋さんの声を聴いて改良したり、細かいオーダーにもこたえて、数種類の藁スサを作っていたの事です。

「昔から左官屋さんがたくさん注文をくれたので今までやってこれた。だから今は使ってくれる左官屋さんがいる間は、何とか出来る範囲で応えていきたい」

そんな話をお聞きすることができ、とても感激しました。
大工や左官や建具などの職人さんがいないと石場建ては作れませんが、同時に素材を生産してくれる職人さんもいないと作れない。様々な職人さん達のおかげで、今私は石場建てが作れている。
うんうん、いつまで作れるのかわかりませんが、作れるうちは目一杯設計させて頂きます。

こちらの写真はというと、前回のブログでご紹介した、共立泥コンさんの土場です。
荒壁も大量の藁を使用するので、このように倉庫に山積みとなっています。
こちらの地方では、まとまった藁が手に入りづらくなっており、藁床の古畳の再利用をしていると事。畳を裁断加工できるように処理する為には、手間がかかりますが、藁を調達する為には、これから必要な工夫でですね。まぁ藁床といっても裁断すれば藁。調整もしやすく、左官屋さんにも気に入って頂けているとの事です。

なにより、長く使われてきた畳を、最後焼却処分するのではなく、土壁に入れて使うん事で、藁の処分のエネルギーまたは調達のエネルギーを減らすことが出来る。

まさに、自然素材の藁床の畳は、土に還る素材なのです。

最後の写真は、昨年秋の建て主さんの田んぼの稲刈りの時です。
今回の荒壁の藁には、建て主さんの田んぼで採れた藁を採用します。
※ 藁施主支給

こうして記事にしてみると、地域の木 地域の土、と同じように、藁も建築には必要な素材であり、昔から身近な田んぼで生産されていた、素晴らしい地域の自然の素材なんだと、知って頂けたのではないでしょうか?

次回は石です。