【ご案内】3月31日 三和土ワークショップ

豊田の石場建て

2022年1月竣工/愛知県豊田市
[内外真壁石場建て/平屋:89.4㎡(27.0坪)]

大工 紬建築   柴田旭 
左官 吉田左官  吉田有祐
土木 今西友起
設計 水野設計室 水野友洋

建物概要

豊田市の郊外に立つ平屋の石場建て。建て主さんは、子育て中のご夫婦。
階高を低く抑えた田の字の間取りに、深い大屋根。

天然乾燥の材木を手刻みで組み上げた構造に、竹小舞を掻いて土壁を塗りました。
基礎は割栗石敷き玉石基礎、コンクリートを使用せず、昔ながらの石場建てです。

南側正面は、濡れ縁に懐かしい木製建具、内部は縁側と障子を挟んで和室。
石場建てで、風の抜ける縁の下は、空気と水を土に戻す環境改善装置。

私は、建築行為または人間の行為は、自然に負荷しか与えない行為だと決めつけてきました。
建築士として私にできる事は、極力ゴミにならない自然素材で作り、永く住み継いで頂ける伝統工法の家作りをする事で、少しでも自然への負荷を減らす事だと考えてきました。

しかし一昨年の夏に、高田宏臣さんの「土中環境」に出会い、人間の行為で自然環境を改善する方法がある事、そしてそれは古くから当たり前にされてきた土木の造作だという事を知った。
人間が自然環境を改善する事は20年前に諦めていたのですが、まさかこんな所で出会うとは夢にも思わぬ幸運な出来事でした。しかも、改善の要の一つが、民家であり、石場建てだった。

今まで石場建てをやってきて本当に良かった。
そしてこれからは、自然環境の改善にもつながり、心から良いと信じている石場建ての家作りを、建て主さん達に思いっきり提案していきます。

 

 

1.竣工風景

玄関は床板、杉赤の厚板です。
ポーチは沓脱石。沓脱石も石場建て、沓脱石の下は、大地の水脈に通じる。

小屋裏の懐を作って、太鼓梁を組みました。

濡れ縁の床板は、桧の厚板。
木製建具と障子と畳です。

玄関の中に内玄関、パントリーです。

脱衣の隣に洗面、奥に納戸と和室。

小屋裏部屋付の子供部屋。

多層の木製建具。
外から雨戸・網戸・ガラス戸・障子。

樋のない軒、出は四尺弱。雨水は栗石を抜けて土に戻す。
石垣は、建て主さん中心に、今までの建て主さん達が集まって積みました。

余計なものは何も無い、高純度の自然素材の家。

照明器具も木組みの手作りです。

 

 

2.施工風景

礎石は、三重の今西さんに据えて頂きました。

建前には、これから伝統工法を引っ張っていく若い大工たちが集まってくれました。

土壁は、竹小舞のワークショップも開催しました。
荒壁塗では吉田左官さんを中心に、20代の若い職人が4人も応援に来てくれました。

紬建築の3人。
私の仕事は、若い職人の舞台を準備することですね。

 

 

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