柳津の民家再生も、今月から本格的に始まりました。
今までは、見積もりの為の仮の解体でしたが、今回は傷んでいる個所を全て外します。
もともと土間だった東側部分は、2回のリフォームが入っています。 一言で言うと、このリフォームされた箇所の地面や躯体が瀕死の状態で、今回はここを直していきます。
ご覧の通り、使える土壁はなく、すべて撤去。柱も使えるのは大黒と数本だけでほぼ取り換えで一部根継ぎ。地面も脆い状態で、部分的に大きく沈下している為、上げ戻します。
1970年代以降に、大壁でしっかりリフォームされた民家の痛みは激しいですね。
今回の工事では、基礎梁を入れて、柱・土台を交換し、新たに脚固めを入れて、土壁で戻していきます。
外壁の板金を外すと、1階2階の妻壁とも古い鎧張りが現れました。しかし、雨が入っていたのか、小屋裏に物が詰まりすぎていたのか、梁は腐って陥没している個所も。
今回の工事では、外壁をこの鎧張りでやり直します。
真壁部分は補修し、 数十年前に吹き替えられた瓦はそのまま、元の姿に戻します。
また、隣接している道路が1.8M以下で車も通れなかったのですが、今回は基礎梁と合わせて擁壁を作り直し、敷地内に車で入れるようにします。
とりあえず今は、基礎梁を作る為の準備段階です。
取り換える部分を撤去したら、次は基礎のベース工事が出来るように揚屋を行います。
再生の現場のたびに思う事ですが、地盤の良し悪しで家の価値の半分は決まり、大壁で包んだ建物はとても脆く、真壁で良い素材と仕事がされた建物は永く持つ。
言い換えると、永く持つ家を建てるなら、地盤が良く真壁で、良い材料と仕事で作る事。
永く残したい伝統的な民家を、内外大壁でリフォームだけはNGですね。
天井をめくると出てきた2階の床板。左が土間で、右が玄関。
そこまで古くない為か、玄関は煤けていませんね。
さて柳津の民家再生ですが、伝統的な建物に現代の技術と工法を取り入れて、モダンな民家再生をしますよ!・・・・・、なんて気は全くありません。
良い素材と一流の職人技術に頼り、伝統的な工法で、元の姿に戻していきます。